あまり聞き慣れない「御目覚まし」という言葉。これは実は、一部の地域で使われる「通夜見舞い」のことを指す、とても心のこもった習慣なのです。
「香典とは違うの?」「いくら包めばいいの?」「どんな時に渡すもの?」など、たくさんの疑問が浮かびますよね。
この記事では、そんな「御目覚まし」の本来の意味から、具体的な金額相場、表書きの書き方、渡す際のマナーまで、あなたのすべての疑問を解決します。ぜひ最後まで読んで、いざという時に備えてください。
そもそも「目覚まし(御目覚まし)」とは?香典との違い
まず最初に、「御目覚まし」が一体何なのか、そして一般的な「御香典」とどう違うのかをはっきりさせておきましょう。この違いを理解することが、最も重要なポイントです。
「夜伽(よとぎ)」をされる遺族への差し入れが由来
「御目覚まし」は、通夜の晩、故人に寄り添って夜を明かす(=夜伽)ご遺族への差し入れや、お見舞いの気持ちを表すものです。
「どうか目を覚ましたまま夜を明かしてください」という意味ではなく、「夜通し起きているのは大変でしょうから、これで飲み物や軽食でも召し上がって目を覚ましてください」という、遺族を気遣う深い思いやりが込められています。
つまり、故人へのお供えである「御香典」とは目的が異なり、「御目覚まし」はご遺族に対して贈るものなのです。

「御香典」と「御目覚まし」は別々に用意する?
目的が違うため、この習慣が根付いている地域では、「御香典」と「御目覚まし」を両方用意するのが丁寧な形とされています。通夜に弔問する際に、2つの不祝儀袋を持参する、ということです。
ただし、関係性や地域の慣習によっては、どちらか一方でも問題ないとされる場合もあります。
「御目覚まし」はどの地域で使われる風習?
「御目覚まし」は全国共通の習慣ではありません。主に、福井県や愛知県、岐阜県といった中部地方や、関西地方の一部で見られる地域性の高い風習です。
そのため、これらの地域以外の方がこの言葉を知らなくても、まったく不思議ではありません。もしご自身の出身地以外の葬儀に参列する際は、こうした地域独自の慣習があるかもしれない、と心に留めておくと良いでしょう。
御目覚ましの書き方とマナー
実際に「御目覚まし」を用意する場合の、不祝儀袋の書き方や選び方について解説します。
表書きの書き方
不祝儀袋の上段中央に、「御目覚まし」または「お目覚まし」と書きます。香典と同様に、悲しみの涙で墨が薄まったことを表す「薄墨」を使用するのが一般的です。
使用する不祝儀袋の種類
白黒または双銀の結び切りの水引がついた不祝儀袋を選びます。ただし、中に入れる金額が比較的少額であるため、水引が印刷されたタイプの簡素な袋を使っても問題ありません。
名前(署名)の書き方
水引の下段中央に、自分のフルネームを表書きよりも少し小さめに書きます。夫婦連名や会社名で出す場合の書き方は、一般的な香典のマナーに準じます。
【気になる金額】御目覚ましの相場はいくら?
ご遺族への差し入れという意味合いが強いため、香典のように高額を包む必要はありません。むしろ、香典より少額にするのがマナーです。
現金を包む場合の金額相場
一般的に、3,000円~5,000円程度が相場とされています。親しい間柄であっても、10,000円が上限と考えておくと良いでしょう。ご遺族に余計な気を遣わせないための配慮です。
関係性 | 金額相場 |
---|---|
友人・知人・同僚など | 3,000円~5,000円 |
親しい間柄・親族 | 5,000円~10,000円 |
新札は避けるべき?お札の入れ方
これも香典と同様です。「不幸を予期して準備していた」という印象を与えないよう、新札は避けるのがマナーです。もし手元に新札しかない場合は、一度折り目を付けてから入れましょう。お札は、肖像画が描かれた面を裏側(下向き)にして入れます。

お金以外でも良い?御目覚ましとして渡す品物
本来の意味を考えると、「御目覚まし」は現金でなく品物で渡しても全く問題ありません。むしろ、昔はこちらが主流でした。
本来の形に近い品物(お菓子、軽食、飲み物など)
ご遺族や弔問客が、その場でつまめるようなものが喜ばれます。
- 日持ちする個包装のお菓子(せんべい、クッキーなど)
- サンドイッチやおにぎりなどの軽食
- コーヒー、お茶、ジュースなどの飲み物
- 地域によってはお酒(日本酒など)
品物を選ぶ際の注意点
品物を選ぶ際は、分けやすく、日持ちがして、殺生を連想させないものを選びましょう。また、すぐに食べられるように、という配慮も大切です。
通夜で御目覚ましを渡すタイミングと渡し方
「御目覚まし」と「御香典」の両方を持参した場合、どう渡せばスマートでしょうか。
受付がある場合は、受付の方に香典と一緒に渡します。その際、「こちらは御香典で、こちらはお目覚ましです」と一言添えると、受付の方が混乱せずに済みます。
重ねて渡す際は、袱紗(ふくさ)から取り出し、受付の方から見て正面になるように向きを変え、「御香典」を上にして差し出すのが一般的です。
受付がない場合は、ご遺族に直接お悔やみの言葉を述べた後、タイミングを見計らってお渡しします。
まとめ
今回は、通夜見舞いとして使われる「御目覚まし」について、その意味やマナーを詳しく解説しました。
最後に、この記事の重要なポイントをまとめます。
- 「御目覚まし」は、故人ではなく遺族を気遣う「通夜見舞い」である。
- 主に中部地方や関西地方の一部で見られる、地域性の高い風習。
- 香典とは別に用意し、金額は3,000円~5,000円程度と少額にするのがマナー。
- 表書きは薄墨で「御目覚まし」と書き、現金だけでなくお菓子や飲み物などの品物でも良い。
- 渡す際は「お目覚ましです」と一言添えると親切。
「御目覚まし」は、悲しみの中にいるご遺族にそっと寄り添う、日本ならではの美しい習慣です。この記事が、あなたの不安を解消し、心を込めて弔意を表すための一助となれば幸いです。
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