突然の訃報に際し、会社に有給休暇を申請する必要があるけれど、「どう書けばいいの?」「どんなことに気をつけたらいいの?」と不安に感じていませんか?
大切な方の葬儀に参列するために、会社への連絡は迅速かつ適切に行うことが重要です。
この記事では、葬式で有給を申請する際の具体的な書き方から、会社に伝えるべき重要なポイント、そしてスムーズに休暇を取得するための注意点まで、あなたの疑問を徹底的に解決します。
この記事を読めば、急な状況でも焦ることなく、適切な手続きで安心して葬儀に参列できるようになりますよ。
葬式で有給を使うのはおかしい?忌引きとの違いを解説
「葬式で有給を使うのは非常識?」と考える方もいるかもしれませんが、そんなことはありません。
多くの企業では、親族の不幸に対して「忌引き休暇」が設けられています。
しかし、忌引き休暇の対象とならない関係性の葬儀や、忌引き休暇の日数が足りない場合など、有給休暇を充てることは全く問題ありません。
忌引き休暇の基本と取得条件
忌引き休暇は、労働基準法で定められたものではなく、各企業が独自に規定している特別休暇です。
そのため、企業によって取得できる親族の範囲や日数が異なります。
一般的には、配偶者、父母、子など、血縁関係が近いほど多くの休暇が与えられる傾向にあります。
一般的な忌引き休暇の日数と対象範囲
続柄 | 一般的な日数 |
---|---|
配偶者 | 10日間 |
父母 | 7日間 |
子 | 5日間 |
兄弟姉妹 | 3日間 |
祖父母、孫 | 1〜3日間 |
配偶者の父母 | 3〜7日間 |
有給休暇と忌引き休暇、どちらを使うべきか
原則として、忌引き休暇の対象となる場合は忌引き休暇を優先して申請しましょう。
忌引き休暇は給与が発生する場合が多いですが、企業によっては無給の場合もあります。
有給休暇は、その名の通り給与が保証される休暇です。
忌引き休暇が適用されない親族の葬儀や、忌引き休暇だけでは日数が足りない場合に有給休暇を組み合わせるのが賢明な方法と言えます。
葬儀で有給申請する際の【基本の書き方】テンプレート
有給休暇の申請方法は会社によって異なりますが、書面での提出が求められる場合も多いですよね。
ここでは、葬儀で有給を申請する際に使える基本的なテンプレートをご紹介します。
有給休暇申請書の具体的な記入例
一般的に、有給休暇申請書には以下の項目を記入します。
一般的な有給休暇申請書の項目
- 申請日
- 氏名、所属部署
- 取得希望期間(日付)
- 取得日数
- 休暇理由
- 緊急連絡先
記入例:
有給休暇申請書 申請日:2025年7月28日 所属部署:〇〇部 氏名:〇〇 〇〇 下記のとおり有給休暇を申請いたします。 取得希望期間:2025年8月1日(金)〜2025年8月3日(日) 取得日数:3日間 休暇理由:親族の葬儀参列のため(祖母 〇〇 〇〇) ※具体的な続柄と故人の氏名を記載すると、会社側も状況を把握しやすくなります。 緊急連絡先:〇〇-〇〇〇〇-〇〇〇〇 以上

休暇理由の書き方:どこまで詳しく書くべきか
休暇理由について、「親族の葬儀」と簡潔に書くのが一般的です。
しかし、部署内での状況や会社の方針によっては、もう少し詳しく伝える必要がある場合もあります。
具体的に、故人の続柄(例:祖母、伯父など)を記載すると、より丁寧な印象を与えられます。
故人の氏名まで記載するかは任意ですが、社内の規定や慣例に従いましょう。
葬儀で有給申請する際に【会社へ伝える3つのこと】
有給休暇を申請する際、会社に伝えるべき重要なポイントが3つあります。
これらを伝えることで、会社側も対応しやすくなり、あなたも安心して休暇を取得できます。
1. 訃報の連絡と休暇取得の意向
まずは、訃報があったことと、それに伴い休暇を取得したい旨を速やかに連絡しましょう。
緊急の事態なので、電話での連絡が最も確実です。
直属の上司にまず連絡を入れるのが基本です。
連絡する際に伝えるべき情報
- 故人との続柄
- 葬儀が行われる場所(都道府県、大まかな地域で可)
- お通夜・告別式の日程(決まっていれば)
- 希望する休暇期間
2. 業務の引継ぎについて
休暇中に担当している業務がある場合、必ず引継ぎについて言及しましょう。
簡単な内容でも良いので、誰に何を依頼したか、どこまで進んでいるかなどを伝えることで、周囲の負担を軽減できます。
緊急時でも、業務への責任感を示すことは大切です。
引継ぎのポイント
- 対応中の案件があるか
- 緊急で対応が必要な業務はないか
- 誰に引き継ぐか、または誰に相談すれば良いか
3. 緊急連絡先と復帰の目途
休暇中に何かあった際に連絡が取れるよう、緊急連絡先を伝えておくことも重要です。
また、いつ頃復帰できるのか、おおよその目途を伝えることで、会社側も今後の業務計画を立てやすくなります。
詳細が未定の場合は、「決まり次第改めてご連絡いたします」と伝えましょう。
有給を申請するタイミングはいつ?連絡の緊急性
訃報は突然訪れるものですから、有給申請のタイミングも緊急性が問われます。
できる限り早く連絡することが、会社への配慮となります。
訃報を受けた直後に連絡するべき理由
訃報を受けた直後に連絡することで、会社はあなたの不在に対応するための準備を始めることができます。
例えば、業務の調整や、関係者への連絡などです。
急な欠勤でも、誠意ある対応を心がけましょう。

電話とメール、どちらで連絡すべきか
訃報や急な休暇の連絡は、まず電話で直属の上司に口頭で伝えるのが基本です。
メールやチャットだけでは、緊急性が伝わりにくかったり、見落とされてしまったりする可能性があります。
電話で伝えた後、改めてメールで要件をまとめて送ると、より丁寧な印象を与え、記録にも残ります。
連絡内容の例(電話の場合)
「〇〇部〇〇です。大変申し訳ございません、先ほど祖母が他界いたしました。つきましては、〇月〇日から〇日まで、有給休暇をいただきたくご連絡いたしました。業務の引継ぎについては〇〇さんにお願いしており、詳細は後ほどメールにてお送りします。」
葬儀で有給申請する際の【マナーと注意点】
デリケートな状況だからこそ、有給申請の際にもいくつかのマナーと注意点があります。
これらを押さえることで、円滑に休暇を取得し、会社との良好な関係を保つことができます。
休暇中の連絡の取り方について
原則として、休暇中はゆっくり休むべきですが、緊急の連絡が入る可能性もゼロではありません。
会社から連絡があった際の対応について、事前に上司と相談しておくと安心です。
例えば、「緊急の場合は〇〇までご連絡ください」と伝えておくなどです。
復帰後の挨拶と業務への復帰
休暇から復帰したら、まずは上司や同僚に挨拶し、感謝の気持ちを伝えることが大切です。
「ご迷惑をおかけしました」「ありがとうございました」の一言が、良好な人間関係を維持する上で非常に重要です。
また、休暇中に滞っていた業務がないか確認し、速やかに通常業務に復帰しましょう。
復帰後の挨拶例
「お休みをいただき、ありがとうございました。ご迷惑をおかけしましたが、本日より通常通り出社しておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。」
有給申請に診断書や死亡診断書は必要?
「葬儀で有給を取るのに、何か証明書はいるの?」と疑問に思う方もいるかもしれません。
基本的には不要ですが、状況によっては提出を求められるケースも考えられます。
原則不要だが会社規定を確認しよう
有給休暇の取得に、診断書や死亡診断書の提出を義務付けている企業は稀です。
しかし、一部の企業では、忌引き休暇の証明として会葬礼状や死亡診断書のコピーの提出を求めることがあります。
これは、休暇の不正取得を防ぐ目的や、福利厚生の一環として慶弔見舞金などを支給する際に必要となるためです。
提出を求められた場合の対処法
もし会社から提出を求められた場合は、指示に従いましょう。
会葬礼状は葬儀後に渡されることが多いため、それを提出すれば問題ありません。
死亡診断書のコピーが必要な場合も、ご家族に相談して対応してください。

有給消化中の連絡は避けるべき?
有給休暇は、労働者の権利として心身を休ませるためのものです。
しかし、葬儀での有給消化となると、完全に連絡をシャットアウトして良いのか悩むこともありますよね。
基本的には連絡を避けるべき理由
有給消化中は、原則として業務に関する連絡は避けるべきです。
これは、あなたのプライベートな時間を尊重し、心身のリフレッシュを図るためです。
緊急性がない連絡であれば、復帰後に対応する姿勢で問題ありません。
緊急時の連絡体制と対応策
ただし、会社や業務の状況によっては、どうしても緊急の連絡が必要になる場合もあります。
事前に上司と「緊急時のみ連絡を取る」という合意をしておくことで、お互いに安心して過ごせます。
連絡手段は電話やショートメッセージなど、緊急性が高いと判断できるものに絞ると良いでしょう。
有給以外に使える休暇はある?特別休暇の種類
忌引き休暇や有給休暇以外にも、企業によっては様々な特別休暇が設けられていることがあります。
これらの休暇を理解しておくことで、いざという時に役立ちます。
慶弔休暇以外の特別休暇の種類
特別休暇には、慶弔休暇(結婚、出産、弔事など)のほかにも、以下のようなものがあります。
- リフレッシュ休暇
- ボランティア休暇
- 生理休暇
- 裁判員休暇
- ドナー休暇
会社の人事・総務部に確認すべきこと
ご自身の会社にどのような特別休暇があるか、またその利用条件はどうかを人事部や総務部に確認しておくことをおすすめします。
就業規則に詳しく記載されているので、一度目を通しておきましょう。
不明な点があれば、担当部署に問い合わせてみてください。
葬儀参列時の服装や持ち物に関する注意点
有給休暇を取得して葬儀に参列する際、服装や持ち物にも配慮が必要です。
急なことでも慌てないよう、最低限の準備をしておきましょう。
一般的な葬儀の服装マナー
男性の場合はブラックスーツ、女性の場合はブラックフォーマルが基本です。
急な訃報で準備が難しい場合でも、派手な色や柄の服は避け、地味な色の服装を心がけましょう。
アクセサリーも最小限にし、光沢のないものを選びます。
男女別の服装マナー
- 男性:ブラックスーツ、白シャツ、黒のネクタイ、黒の靴下、黒の革靴。
- 女性:ブラックフォーマル(ワンピースまたはアンサンブル)、黒のストッキング、黒のパンプス。装飾の少ないバッグ。
お香典や数珠など必須の持ち物
葬儀に参列する際に忘れてはならないのが、お香典と数珠です。
お香典は、不祝儀袋に入れて準備します。
金額は故人との関係性によって異なりますので、事前に確認しておくと良いでしょう。
数珠は宗派によって形が異なる場合もありますが、基本的にはどの宗派でも使える略式数珠で問題ありません。
葬儀後の手続きと会社への報告
葬儀が終わった後も、会社への報告や、必要であれば関連する手続きがあります。
最後まで気を抜かず、適切に対応しましょう。
無事に葬儀を終えた旨の報告
復帰後、まずは無事に葬儀を終えた旨を上司に報告しましょう。
簡単な口頭での報告で問題ありません。
その際、お休みをいただいたことへの感謝も忘れずに伝えましょう。
必要に応じた書類提出(会葬礼状など)
もし会社から会葬礼状などの提出を求められていた場合は、忘れずに提出しましょう。
これにより、休暇取得の証明となります。
会社によっては、福利厚生として慶弔見舞金などが支給される場合もあるので、その際にも書類が必要となることがあります。
よくある質問:有給と葬儀に関して
葬儀に関する有給休暇の取得で、よくある疑問をQ&A形式でまとめました。
気になる点があれば、参考にしてみてください。
Q1. 家族葬の場合でも有給は申請できますか?
はい、家族葬の場合でも有給休暇は申請できます。
葬儀の形式に関わらず、大切な方の訃報に際して休暇が必要となることに変わりはありません。
会社への連絡は、家族葬である旨を伝える必要はありませんが、必要に応じて「親族のみで執り行う」などと補足しても良いでしょう。
Q2. 海外での葬儀の場合、有給はどれくらい取れますか?
海外での葬儀の場合、移動に時間がかかるため、通常よりも多くの休暇が必要となる場合があります。
忌引き休暇の日数が適用されない場合、有給休暇を組み合わせて対応することになります。
この場合、早めに上司に相談し、必要な日数を伝えて調整することが重要です。
Q3. 遠方の葬儀でも有給は取れますか?
はい、遠方の葬儀でも有給休暇は取れます。
移動時間も考慮し、必要な日数を申請しましょう。
会社に、遠方であることと、それにより移動時間がかかる旨を伝えておくと、理解を得られやすいです。
まとめ
大切な方の訃報に際して、会社への有給休暇の申請は、ただ手続きをすれば良いというものではありません。
この記事でご紹介した「有給休暇申請書の書き方」、「会社へ伝えるべき3つのこと」、そして「緊急時の対応マナー」を押さえることで、あなたは安心して葬儀に参列し、故人との最後のお別れに集中することができます。
突然の出来事に戸惑うかもしれませんが、この記事が少しでもあなたの助けになれば幸いです。
落ち着いて、一つずつ必要な手続きを進めていきましょう。
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