「急な訃報で、お葬式に参列しなくてはならない。でも、足が痛くてパンプスなんてとても履けない…」
外反母趾や怪我、妊娠中、ご高齢など、様々な理由でパンプスを履くのが難しい状況、本当にお辛いですよね。マナー違反になったらどうしよう、と不安な気持ちでこのページに辿り着いたのではないでしょうか。
でも、ご安心ください。お葬式では、必ずしもパンプスを履かなければならない訳ではありません。
この記事では、パンプスが履けないあなたの悩みを解決するために、
- パンプスの代わりになる靴の具体的な選択肢
- お葬式で許される靴のマナーとNG例
- 【理由別】最適な靴の選び方と注意点
などを、分かりやすく徹底的に解説していきます。この記事を読めば、あなたはマナーを守りつつ、自分の足に合った靴で安心して故人をお見送りできるようになります。無理せず、あなたにできる最善の方法を一緒に見つけていきましょう。

結論:葬式でパンプスが履けなくても全く問題ありません
まず、一番大切な結論からお伝えします。お葬式でパンプスが履けなくても、マナー違反にはなりません。
葬儀で最も重要なのは、故人を偲び、ご遺族をいたわるその「気持ち」です。無理をしてパンプスを履き、痛みで顔をしかめたり、転倒してしまったりしては、かえってご遺族に心配をかけてしまいます。
健康上の理由や安全を考慮し、マナーの範囲内で別の靴を選ぶことは、決して失礼なことではありません。堂々と、ご自身の足に合った靴を選んでくださいね。
そもそもなぜパンプス?葬式の靴の基本マナーをおさらい
では、なぜ一般的にお葬式ではパンプスが推奨されるのでしょうか。それは、フォーマルな場で最も無難で、控えめな印象を与えるからです。代わりの靴を選ぶ前に、まずは基本のルールを理解しておきましょう。ポイントは以下の通りです。
基本マナーのポイント
- 色:黒が基本。光沢のないマットな黒を選びます。
- 素材:布製(ポリエステル、サテンなど)が最も望ましいとされます。本革や合皮も一般的ですが、光沢の少ないものを選びましょう。
- デザイン:飾りのないシンプルなデザイン。リボンや金具、ステッチが目立つものは避けます。
- 形状:つま先は丸みのあるラウンドトゥや、角ばったスクエアトゥが適しています。つま先が尖ったポインテッドトゥや、つま先が見えるオープントゥはNGです。
- ヒールの高さ:3〜5cm程度の太めのヒールが正式とされますが、ローヒールやぺたんこ靴でも問題ありません。
これらの基本を押さえておけば、パンプス以外の靴を選ぶ際にも、どれがマナーに沿っているか判断しやすくなります。
【状況別】パンプスが履けない時の代わりになる靴5選
ここからは、いよいよ本題です。パンプスが履けない時に具体的にどのような靴を選べば良いのか、具体的な選択肢をメリットと共に見ていきましょう。
飾りのない黒のプレーンなローファー
パンプスの代わりとして、最もおすすめできるのが黒のローファーです。特に、金具などの飾りがついていない「ペニーローファー」や「ヴァンプローファー」のシンプルなデザインを選びましょう。
革靴なのでフォーマル感がありつつ、ヒールが低く安定感があるため、長時間でも疲れにくいのが最大のメリットです。外反母趾などでパンプスの形が合わない方にも適しています。

ストラップ付きのフォーマルシューズ
足の甲にストラップが付いているタイプの靴も、脱げにくく歩きやすいためおすすめです。特に妊娠中の方や、足のサイズが変わりやすい方に安心です。
選ぶ際は、ストラップが太すぎず、金具が目立たないシンプルなデザインを選びましょう。ヒールは低いものや、全くないものでも構いません。
シンプルな黒のバレエシューズ
「ぺたんこ靴」の代表格であるバレエシューズも、条件を満たせば着用可能です。
バレエシューズを選ぶ際の注意点
- 素材:エナメルなどの光沢素材は避け、布製やマットな革製を選ぶ。
- デザイン:大きなリボンや飾りが付いていない、ごくシンプルなものに限る。
- 靴底:底が薄すぎるとカジュアルに見えがちなので、ある程度の厚みがあるものを選ぶ。
これらの点をクリアすれば、非常に楽で、足への負担も少ない選択肢となります。
フォーマル用のローヒールシューズ
婦人靴売り場には、冠婚葬祭用のローヒールシューズも多く販売されています。ヒールの高さが1〜2cm程度のものが多く、安定感は抜群です。
デザインも弔事用に作られているものがほとんどなので、マナーの面で失敗する心配が少ないのが大きなメリットです。一足用意しておくと、いざという時に安心できます。
【最終手段】シンプルな黒いスニーカー
「どうしても上記のような靴が用意できない」「怪我でギプスをしており、スニーカーしか履けない」という場合もあるでしょう。その場合は、無地の黒いスニーカーであれば許容されることがあります。
スニーカーを選ぶ場合の最低限の条件
- 色:靴紐やロゴ、ソールまですべてが黒一色であること。
- デザイン:メッシュ素材や派手なデザインは避け、レザー調のシンプルなもの。
- 清潔感:汚れや傷がない、綺麗な状態であること。
ただし、スニーカーはあくまでカジュアルな履物です。やむを得ない事情がある場合に限り、ご遺族に一言「足の事情でこのような靴で失礼します」と伝える配慮があると、より丁寧な印象になります。
葬式の靴選びで絶対に避けたいNG例
逆に、これだけは避けておきたいNGな靴もあります。知らずに履いていって恥ずかしい思いをしないよう、しっかり確認しておきましょう。
NGの種類 | 具体的な例と理由 |
---|---|
光沢のある素材 | エナメル、ラメ、スパンコールなど。「華やかさ」を連想させるためNG。 |
殺生を連想させる素材 | ワニ革、ヘビ革、アニマル柄、スエード(起毛素材)。仏教の教えや見た目の印象から避けるのが無難。 |
派手な装飾 | 大きなリボン、金属の飾り、派手なバックル、目立つステッチ。おしゃれをする場ではないため。 |
カジュアルすぎる靴 | サンダル、ミュール、ブーツ、スニーカー(基本はNG)。肌の露出が多い、カジュアル、防寒目的の靴は弔事の場にふさわしくありません。 |
つま先の見える靴 | オープントゥのパンプスやサンダル。「つま先(toes)を出す=妻を出す」という語呂合わせで縁起が悪いとも言われますが、単純にフォーマルさに欠けるためです。 |

【お悩み別】パンプスが履けない理由と最適な靴の選び方
ここでは、あなたの具体的なお悩みに寄り添い、より最適な靴選びのヒントをご紹介します。
外反母趾や足の病気でお悩みの方へ
つま先が圧迫されるパンプスは辛いですよね。幅広(3E、4Eなど)のフォーマルシューズや、つま先がゆったりしたスクエアトゥのローファーがおすすめです。「フォーマルシューズ 幅広」などで検索すると、足に優しい設計の靴が見つかります。
妊娠中・子育て中のママさんへ
安全第一です。ヒールが全くないバレエシューズタイプや、脱げにくいストラップ付きのシューズを選びましょう。お腹が大きくなると屈むのも大変なので、靴べらを使わずに履けるスリッポンタイプのローファーも便利です。
ご高齢の方や足腰に不安がある方へ
転倒防止が最優先です。軽くて、滑りにくく、着脱しやすい靴を選びましょう。介護シューズの中にも、黒でシンプルなデザインのものがあります。フォーマル用にこだわらず、安全に歩けることを第一に考えてください。
急な訃報で靴がない!どこで買う?
急いでいる場合は、以下のような場所で探してみましょう。
- 大型スーパーの衣料品売り場:冠婚葬祭コーナーに手頃な価格のフォーマルシューズが置かれていることが多いです。
- 靴の量販店:様々な種類の黒い靴があり、実際に試着して選べます。
- デパートの婦人靴売り場:品質の良いフォーマルシューズが見つかります。店員さんに相談できるのも心強い点です。
- ネット通販:時間に余裕があれば選択肢は豊富ですが、サイズ違いのリスクがあります。
葬式の靴に関するよくある質問(Q&A)
最後に、皆さんが疑問に思いがちな点をQ&A形式でまとめました。
Q. どうしても合う靴が見つからない場合はどうすれば?
A. ご親族に事情を話し、相談するのが一番です。「足が悪くて、どうしてもこの靴しか履けなくて…」と正直に伝えれば、咎められることはまずありません。無理せず、まずは相談してみましょう。
Q. ストッキングや靴下はどうすればいいですか?
A. 黒の薄手のストッキング(20〜30デニール)が基本です。厚手のタイツはカジュアルに見えるため避けるのが無難とされています。ただし、寒い地域や冬場は60デニール程度までなら許容されることもあります。パンツスーツで靴下を履く場合は、黒の無地を選びましょう。
Q. 子どもの靴のマナーはありますか?
A. 学生の場合は、学校指定のローファーや黒い運動靴で問題ありません。未就学児の場合は、派手な色やキャラクターものを避け、黒や紺、白などの落ち着いた色の靴であれば大丈夫です。
Q. 会場での履き替えは可能ですか?
A. はい、可能です。特に雪や雨の日、あるいはどうしても楽な靴で移動したい場合は、会場の更衣室やお手洗いで履き替えることができます。履き替える靴を入れる黒い無地の袋を持参するとスマートです。
まとめ
今回は、「お葬式でパンプスが履けない」というお悩みに応えるべく、代わりになる靴の選び方やマナーについて詳しく解説しました。
一番大切なのは、パンプスを履くことではなく、故人を敬い、偲ぶ気持ちを持って参列することです。
足の痛みや健康状態を我慢してまで、無理にマナーに合わせる必要はありません。今回ご紹介した選択肢の中から、
- 光沢のない黒
- シンプルなデザイン
- ご自身の足に合った、歩きやすい形
この3つのポイントを意識して靴を選べば、マナー違反になることなく、安心して故人とのお別れの時間を過ごせます。
この記事が、あなたの不安を少しでも軽くする助けとなれたなら幸いです。
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