葬式のお弁当、持ち帰りは失礼?基本マナーと対応方法を解説

葬式のお弁当、持ち帰りは失礼?基本マナーと対応方法を解説 葬式
葬式の知恵袋・イメージ

葬儀に参列した際に出されるお弁当。「精進落とし(しょうじんおとし)」や「お斎(おとき)」などと呼ばれますが、これを持ち帰るべきか、それともその場でいただくべきか、迷った経験はありませんか?

「持ち帰るのは失礼にあたるのでは…」「でも、勧められた場合はどうすればいいの?」そんなふとした疑問が頭をよぎることも少なくないでしょう。

この記事では、葬儀のお弁当を持ち帰る際の基本的な考え方から、失礼にならないための具体的なマナー、そしてやむを得ず辞退したい場合の伝え方まで、元葬儀業界のプロの視点から詳しく解説していきます。

喪主・遺族側の立場で準備する際のポイントにも触れていますので、ぜひ最後までご覧いただき、いざという時に自信を持って対応できるようになりましょう。

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葬式のお弁当は持ち帰っても良い?基本的な考え方

まず結論からお伝えすると、葬儀のお弁当を持ち帰ることは、一概にマナー違反とは言えません。地域やご家庭の慣習、そしてその場の状況によって判断が分かれるのが実情です。

大切なのは、故人様とご遺族への配慮の気持ちを忘れないこと。ここでは、基本的な考え方を3つのパターンに分けて見ていきましょう。

持ち帰りを勧められた場合は?

喪主や親族の方から「どうぞお持ち帰りください」と声をかけられた場合は、遠慮なく頂戴するのが丁寧な対応です。無理に断ることは、かえってご遺族の心遣いを無下にしてしまう可能性もあります。

筆者の大谷
大谷

感謝の言葉を添えて「ありがとうございます。故人様を偲びながら、家でいただきます」と伝えると、より気持ちが伝わりますよ。

特に、遠方からの参列者や高齢の方、小さなお子様連れの方など、長時間の会食が難しい方々のために、あらかじめ持ち帰り用のお弁当を用意しているケースも増えています。

持ち帰りを勧められない場合は?

特に持ち帰りについて案内がない場合は、その場でいただくのが基本です。ただし、会食の席が設けられておらず、お弁当だけを渡されるような形式の場合は、持ち帰りを前提としていることがほとんどです。

判断に迷う場合は、自己判断で持ち帰るのではなく、近くの親族や葬儀社のスタッフに「こちらのお弁当は、持ち帰ってもよろしいのでしょうか?」とそっと確認するのが最も確実で、丁寧な方法です。

なぜ持ち帰りの風習があるのか?

そもそも、なぜお弁当を持ち帰るという考え方があるのでしょうか。これにはいくつかの理由が考えられます。

  • 共食(きょうしょく)による供養:故人様と同じものを食べることで供養になるという考え方。家で待つ家族にもお裾分けし、共に故人を偲ぶ意味合いがあります。
  • 相互扶助の精神:昔は葬儀を手伝ってくれた近所の方々へ、労いと感謝の気持ちを込めて料理を振る舞い、持ち帰ってもらう風習がありました。その名残とも言えます。
  • フードロス削減の観点:用意した食事を無駄にしない、という現代的な考え方も背景にあるでしょう。

このように、持ち帰りには故人様やご遺族、そして参列者同士の温かい心の繋がりが関係しているのです。

【参列者向け】お弁当を持ち帰る際の失礼にならないマナー

お弁当を持ち帰る際には、いくつか心に留めておきたいマナーがあります。ご遺族に不快な思いをさせないよう、細やかな配慮を心がけましょう。

喪主・親族への声かけのポイント

持ち帰る際は、黙って席を立つのではなく、必ず喪主や親族に一言声をかけるのが礼儀です。その際のポイントを2つご紹介します。

感謝の気持ちを伝える

まずは、お心遣いに対する感謝の気持ちを伝えましょう。

【声かけの例】

「本日はお心のこもったお席をありがとうございます。誠に勝手ながら、こちらのお弁当は持ち帰らせていただいてもよろしいでしょうか。」

持ち帰りの許可を得る

たとえ持ち帰りが慣習となっている地域であっても、「持ち帰らせていただきます」と一方的に伝えるのではなく、「持ち帰ってもよろしいでしょうか?」と許可を伺う姿勢が大切です。謙虚な姿勢が、相手への敬意を表します。

持ち帰り用の袋や容器の準備

最近では、持ち帰りやすいように立派な箱に入っていたり、専用の袋が用意されていたりすることが多いです。もし袋が用意されていない場合に備えて、念のためにA4サイズ程度のシンプルな手提げ袋や風呂敷をカバンに忍ばせておくと、スマートに対応できます。

筆者の大谷
大谷

スーパーのレジ袋などは見栄えが良くないので避けましょう。百円ショップなどで手に入る、無地のシンプルなものがおすすめです。

持ち帰った後のお弁当の扱い方

持ち帰ったお弁当は、故人を偲ぶ大切な食事です。しかし、衛生面には十分に注意が必要です。

  • 速やかに食べる:特に夏場は食品が傷みやすいです。持ち帰ったらすぐに冷蔵庫に入れ、その日のうちに食べるようにしましょう。
  • 食べる前に再加熱する:可能であれば、電子レンジなどで加熱してからいただくと、より安心です。

万が一、体調を崩してしまっては、かえってご遺族に心配をかけてしまいます。感謝の気持ちと共に、美味しく安全にいただくことまでがマナーと言えるでしょう。

お弁当を持ち帰れない・辞退したい場合の伝え方

「アレルギーがある」「この後の予定で持ち歩けない」など、様々な事情でお弁当を持ち帰れない、あるいは会食そのものを辞退したい場合もあるかと思います。その際の伝え方についても確認しておきましょう。

事前に欠席がわかっている場合

精進落としなど、会食への参加が難しいことが事前にわかっている場合は、出欠の返事をする際にその旨を伝えておくのが最も親切です。これにより、喪主側は無駄なく食事の数を手配できます。

当日、やむを得ず辞退する場合の例文

当日にやむを得ない事情で辞退する場合は、タイミングを見計らって、喪主や親族に直接、お詫びと理由を簡潔に伝えます。

【辞退の例文】

「大変申し訳ございません。この後、すぐに移動しなければならないため、お食事の席は失礼させていただきたく存じます。お心遣い、誠にありがとうございます。」

「申し訳ありません、食物アレルギーがございまして、せっかくですがお食事は辞退させていただけますでしょうか。お気持ちだけ、ありがたく頂戴いたします。」

角が立たないよう、クッション言葉(申し訳ございませんが、など)を添えるのがポイントです。

辞退する際の注意点

辞退する理由は、正直に、かつ簡潔に伝えましょう。長々と事情を説明するのは、忙しいご遺族の負担になる可能性があります。「所用により」「時間の都合で」といった表現で十分です。

大切なのは、お誘いへの感謝と、辞退することへのお詫びの気持ちをしっかりと伝えることです。

【喪主・遺族向け】持ち帰り弁当の準備と注意点

ここからは、喪主・遺族の立場で持ち帰り用のお弁当を準備する際のポイントを解説します。参列者への感謝の気持ちが伝わるような、心のこもった準備をしたいものですよね。

持ち帰り弁当の相場はいくら?

持ち帰り用のお弁当の相場は、地域や内容によって異なりますが、一般的には3,000円~8,000円程度が目安です。会食で提供する料理と同等か、少し控えめな価格帯で選ばれることが多いようです。

※あくまで一般的な目安です。
価格帯 内容の目安
3,000円~5,000円 一般的な仕出し弁当。焼き魚、煮物、天ぷら、ご飯など基本的な内容。
5,000円~8,000円 やや高級な会席弁当。お刺身やうなぎ、季節の食材などが加わり、品数も増える。
8,000円~ 高級料亭の会席膳など。器にもこだわった、より丁寧なおもてなし。

葬儀社や仕出し料理店に相談すれば、予算に応じた適切なお弁当を提案してくれます。

業者選びのポイントとメニュー例

業者を選ぶ際は、葬儀用の食事提供の実績が豊富なところを選ぶと安心です。メニューを決める際には、以下の点に注意しましょう。

季節感や衛生面に配慮する

旬の食材を取り入れると、心のこもったおもてなしになります。一方で、夏場は足の早い生もの(お刺身など)を避ける、保冷剤を付けるといった衛生面への配慮が不可欠です。

持ち帰りやすい容器を選ぶ

汁漏れしにくい、かさばらないなど、持ち帰りやすさを考慮した容器を選びましょう。お箸やおしぼり、醤油などの調味料も忘れずにセットになっているか確認が必要です。

参列者への案内方法

お弁当を持ち帰っていただく場合は、その旨を明確にアナウンスすることが大切です。

  • 司会者からのアナウンス:閉式の挨拶の際などに、「お帰りの際に出口にてお弁当をご用意しておりますので、どうぞお持ち帰りください」と案内してもらう。
  • 親族からの声かけ:参列者をお見送りする際に、一人ひとりに手渡ししながら声をかける。

どちらかの方法で、全ての参列者に伝わるように配慮しましょう。

葬儀の食事(お斎・精進落とし)に関するよくある質問

最後に、葬儀のお弁当や食事に関して、よく寄せられる質問にお答えします。

通夜振る舞いと精進落としのお弁当の違いは?

通夜振る舞いは、お通夜の後に弔問客へ振る舞われる食事で、故人との最後の夜を共に過ごす意味合いがあります。生前の思い出を語り合う場なので、大皿料理などが中心で、一口でも箸をつけることが供養になると言われます。

一方、精進落としは、火葬後や初七日法要の後に行われる会食です。元々は、四十九日の忌明けまで続いた精進料理(肉や魚を避けた食事)から、通常の食事に戻る儀式でした。現在では、葬儀でお世話になった方々への感謝を表す席という意味合いが強くなっています。

家族葬の場合もお弁当は必要?

家族葬であっても、会食の時間を設けるか、持ち帰りのお弁当を用意するのが一般的です。参列してくれた親族への感謝を示すとともに、故人をゆっくりと偲ぶ大切な時間となります。もちろん、ごく近しい身内だけで行う場合は、会食なしで解散という形式も選択肢の一つです。

筆者の大谷
大谷

最近は、家族葬の後にレストランなどで食事会を開くケースもあります。形式にこだわりすぎず、故人や家族の意向を尊重しましょう。

持ち帰ったお弁当はいつまでに食べるべき?

前述の通り、衛生管理の観点から、持ち帰ったその日のうちに食べるのが原則です。特に生ものや和え物などが含まれている場合は注意が必要です。長時間持ち歩いた後や、少しでも臭いや味に違和感があった場合は、残念ですが食べるのを控える勇気も大切です。

まとめ

今回は、「葬式のお弁当の持ち帰り」をテーマに、基本的な考え方から具体的なマナーまで詳しく解説してきました。

【この記事のポイント】

  • 葬儀のお弁当の持ち帰りは、状況次第でマナー違反ではない。
  • 勧められたら感謝して頂戴するのが丁寧な対応。
  • 自己判断せず、迷ったら親族やスタッフに確認する。
  • 持ち帰る際は、感謝の言葉と許可を得る姿勢を忘れない。
  • 辞退する際は、お詫びと感謝の気持ちを簡潔に伝える。
  • 持ち帰ったお弁当は、衛生面に注意し、その日のうちにいただく。

葬儀の食事は、単なる食事ではなく、故人を偲び、遺族を慰め、参列者への感謝を示すという、多くの大切な意味が込められています。その意味を理解し、相手を思いやる気持ちを持って行動することが、何よりも大切です。

この記事が、あなたの不安や疑問を解消し、心穏やかに故人様とのお別れの時間を過ごすための一助となれば幸いです。

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【参考資料】

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【この記事を書いた人】
大谷

「葬式の知恵袋」運営者の大谷です。

私自身の経験から、葬儀に関する不安や疑問を抱える方々の力になりたいと願い、このサイトを立ち上げました。

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※記事の執筆には一部AIを利用しております。AIの回答には間違いが含まれている場合があり、必ずしも正しいとは限りません。重要な情報は確認するようにしてください。誤情報による記事の修正依頼はお問い合わせページよりお願いします。
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