突然の訃報に接し、葬儀に参列する際、喪主の方にどのような言葉をかければよいか悩んでいませんか?
大切な方を亡くされたばかりの喪主の気持ちに寄り添い、失礼のないように、心を込めてお悔やみの言葉を伝えたいですよね。
しかし、いざその場に立つと、どんな言葉が適切なのか分からず、黙って頭を下げることしかできなかった…という経験がある方もいらっしゃるかもしれません。
この記事では、葬儀の場で喪主にかける挨拶の基本マナーから、関係性や状況に応じた具体的な文例、そして避けるべきNGワードまで、誰でも安心して使えるように分かりやすく解説します。
この記事を読めば、あなたの弔意が深く、そして温かく喪主に伝わるはずです。ぜひ最後までご覧ください。
葬儀で喪主への挨拶、基本のマナーとは?
まずはじめに、喪主へ挨拶をする際に最も大切な心構えと、基本的なマナーについて確認しましょう。形だけではなく、心が伴ってこそ、本当のお悔やみの言葉になります。
まずはこれだけ押さえる!お悔やみの言葉の基本形
難しく考える必要はありません。基本の形さえ覚えておけば、いざという時に言葉に詰まることはなくなります。
短く簡潔に伝えるのが鉄則
葬儀の日の喪主は、多くの弔問客への対応に追われ、心身ともに大変な状態です。長々と言葉を続けるのは、かえって負担になってしまう可能性があります。
お悔やみの言葉は、できるだけ手短に、簡潔に伝えることを第一に心がけましょう。深いお辞儀とともに、一言添えるだけでも十分気持ちは伝わります。

故人への敬称の使い方
喪主との会話の中で故人に触れる際は、敬称を使うのがマナーです。誰の葬儀に参列しているのか、喪主との関係性を考慮して使い分けましょう。
- ご尊父(そんぷ)様、お父様:喪主の父
- ご母堂(ぼどう)様、お母様:喪主の母
- ご主人様、旦那様:喪主の夫
- 奥様、奥方様:喪主の妻
- ご子息(しそく)様、息子さん:喪主の息子
- ご令嬢(れいじょう)様、お嬢さん:喪主の娘
宗教・宗派への配慮も忘れずに
一般的な仏式の葬儀で使われる「ご愁傷様です」「お悔やみ申し上げます」といった言葉は、多くの場面で使うことができます。
しかし、キリスト教や神道など、宗教によっては使わない表現があるため注意が必要です。
- キリスト教:「安らかなお眠りをお祈りいたします」など。死を悲しむのではなく、神のもとへ召されたと考えるため、「お悔やみ」は使いません。
- 神道:「御霊(みたま)のご平安をお祈りいたします」など。
もし宗派が分からない場合は、「この度は誠に…」と口ごもったり、「お知らせいただき、ありがとうございます」といった表現が無難です。
挨拶をするベストなタイミングはいつ?
お悔やみの言葉を伝えるタイミングも重要です。喪主の状況をよく見て、負担にならない時を見計らいましょう。
お通夜でのタイミング
お通夜では、受付を済ませた後、会場で喪主を見かけた際に声をかけるのが一般的です。焼香の前後などが考えられますが、他の弔問客と話している最中などは避けましょう。
告別式でのタイミング
告別式では、式の最中に話しかけるのはマナー違反です。式が始まる前や、閉式後、喪主が少し落ち着いたタイミングを見計らいましょう。出棺の際などは慌ただしいので、簡潔に一言伝えるか、黙礼に留めるのが賢明です。
喪主が忙しそうな場合は無理に声をかけない
最も大切なのは、喪主を気遣う気持ちです。明らかに忙しそうにしている場合や、心労が深く憔悴しきっている様子であれば、無理に声をかける必要はありません。その場合は、受付の方に伝言を頼んだり、黙礼(深くお辞儀をすること)で弔意を示したりするだけでも、あなたの気持ちは十分に伝わります。
これは避けたい!喪主への挨拶でNGな話題と言葉
良かれと思ってかけた言葉が、かえって相手を傷つけてしまうことがあります。ここでは、特に注意したいNGな話題や言葉(忌み言葉)をご紹介します。
死因を詳しく尋ねる
「何が原因で?」「長く患っていらしたのですか?」など、故人の死因を詳しく尋ねることは、最も失礼な行為とされています。ご遺族にとっては非常にデリケートな問題であり、触れてほしくない場合がほとんどです。絶対に避けましょう。
「頑張って」などの励ましの言葉
「頑張って」「元気を出して」といった励ましの言葉は、一見すると相手を思いやっているように聞こえます。しかし、大切な人を失った直後の方にとっては、「これ以上どう頑張ればいいのか」と、かえってプレッシャーや苦痛に感じさせてしまうことがあります。

忌み言葉(いみことば)
不幸が重なることや、死を直接的に連想させる言葉は「忌み言葉」として避けられます。無意識に使ってしまわないよう、事前に確認しておくと安心です。
種類 | 忌み言葉の例 | 言い換えの例 |
---|---|---|
重ね言葉 | 重ね重ね、くれぐれも、たびたび、ますます | 十分に、深く、改めて |
繰り返す言葉 | 続いて、再び、追って | 後ほど、改めて |
直接的な言葉 | 死ぬ、死亡、生きている頃 | ご逝去、ご生前、お元気な頃 |
不吉な言葉 | 消える、浮かばれない | (使用を避ける) |
【関係性別】すぐに使える!喪主への挨拶・お悔やみの言葉の文例集
ここからは、あなたの立場や喪主との関係性別に、具体的な挨拶の文例をご紹介します。ご自身の状況に近いものを参考に、心を込めて伝えてみてください。
親族・親戚として参列する場合の挨拶
親族として参列する場合は、他の弔問客よりも喪主に寄り添う姿勢が大切になります。
親しい間柄の場合
「この度は本当に残念です。何か手伝えることがあったら、いつでも言ってね。」
「おつらいでしょう。あまり無理をしないでね。何かあったらすぐに連絡してください。」
少し遠い親戚の場合
「この度はご愁傷様です。突然のことで驚きました。お力落としのことと存じます。」
「ご無沙汰しております。この度は誠にご愁傷様でございます。心よりお悔やみ申し上げます。」
友人・知人として参列する場合の挨拶
友人として、故人を悼む気持ちと、遺された友人(喪主)を気遣う気持ちの両方を伝えましょう。
故人と親しかった場合
「この度は本当に残念です。〇〇(故人)さんには、いつも良くしてもらいました。今はただ、安らかに眠られることをお祈りしています。」
喪主と親しい場合
「この度は、大変だったね…。言葉が見つかりません。何かあれば、いつでも頼ってほしい。」
「ご愁傷様です。〇〇(喪主)の体が心配です。無理だけはしないでね。」
会社関係者(上司・同僚・部下)として参列する場合の挨拶
ビジネスの場とは異なるため、より丁寧な言葉遣いを意識します。会社の代表として参列している場合は、その旨も簡潔に伝えます。
上司の家族の葬儀の場合
「この度はご母堂(ご尊父)様のご逝去の報に接し、心よりお悔やみ申し上げます。お力落としのことと存じますが、どうかご無理なさらないでください。」
「〇〇(会社名)の△△です。この度は誠にご愁傷様です。会社のことはどうぞご心配なさらないでください。」
同僚・部下の家族の葬儀の場合
「この度は、誠にご愁傷様です。大変だったね。仕事のことは気にせず、今はご家族との時間を大切にしてください。」
「心よりお悔やみ申し上げます。何か手伝えることがあったら、遠慮なく言ってください。」
ご近所の方として参列する場合の挨拶
「この度は誠にご愁傷様でございます。〇〇さんには生前大変お世話になりました。寂しくなります。」
「いつもお元気な姿を拝見していたので、本当に驚きました。心からお悔やみ申し上げます。」
なんて声をかける?シーン別の挨拶と対応
葬儀の様々な場面で、どのように振る舞い、挨拶をすれば良いのでしょうか。ここではシーン別の対応方法を解説します。
葬儀の受付での挨拶の仕方
葬儀会場に到着して、最初に対応するのが受付です。ここでの挨拶も丁寧に行いましょう。
芳名帳に記帳する際
まず受付の方に「この度はご愁傷様でございます」と一礼してから、芳名帳への記帳を促されたら「失礼します」と述べ、記帳します。
香典を渡す際
「この度は誠にご愁傷様です。心よりお悔やみ申し上げます。こちら、御霊前にお供えください」と言いながら、両手で香典を渡します。

電話で訃報を受けた際の第一声
突然の訃報の電話に、驚いて言葉を失うこともあるでしょう。まずは落ち着いて、相手を気遣う言葉を伝えます。
「この度は誠にご愁傷様です。突然のことで言葉も見つかりません。おつらい時にご連絡いただき、恐れ入ります。」
その後、通夜や葬儀の日時、場所など、必要な情報を簡潔に確認しましょう。
家族葬の場合、喪主にどう挨拶する?
家族葬は、ごく親しい身内だけで行う小規模な葬儀です。参列を許可されたということは、故人や遺族にとって、あなたも「身内同様」と認められている証拠です。基本的なマナーは一般葬と同じですが、より一層、喪主やご遺族の気持ちに寄り添う姿勢が大切になります。
「この度は、お招きいただき恐れ入ります。〇〇さんのお顔を見られてよかったです。どうか安らかにとお祈りしています。」といった、故人への想いと、呼んでもらったことへの感謝を伝えると良いでしょう。
もし言葉が見つからない時はどうすればいい?
深い悲しみの中にいる喪主を前にして、どうしても適切な言葉が見つからない、ということは誰にでも起こり得ます。
そんな時は、無理に言葉を探す必要はありません。黙って深く一礼するだけでも、あなたの弔意やいたわりの気持ちは十分に伝わります。「言葉が見つかりません」と正直に伝えるのも一つの方法です。
大切なのは、雄弁に語ることではなく、心から相手を思いやることです。
喪主からお悔やみの言葉をかけられた時の返事
通常、お悔やみを伝えるのは参列者側ですが、喪主の方から「本日はお越しいただきありがとうございます」などと声をかけられる場面もあります。その際の返事にもマナーがあります。
参列者からの言葉にどう返す?基本の返答
喪主から声をかけられたら、まずは恐縮する気持ちを伝え、改めてお悔やみの言葉を述べましょう。「とんでもないです」「恐れ入ります」といった言葉が適切です。
具体的な返答の文例
喪主「本日はご多忙のところ、誠にありがとうございます」
返答例:「とんでもないことでございます。この度は誠にご愁傷様です。心よりお悔やみ申し上げます。」
喪主「生前は父が大変お世話になりました」
返答例:「こちらこそ、大変お世話になりました。とても寂しくなります。〇〇様(喪主)も、どうかお力落としのございませんように。」
返事に困った時は「恐れ入ります」で十分伝わる
もし返答に詰まってしまったら、「恐れ入ります」と一言述べ、深くお辞儀をするだけでも問題ありません。喪主もあなたの気持ちを察してくれるはずです。
【独自解説】より気持ちが伝わる挨拶のポイント
マナーや文例を知ることも大切ですが、最後に、よりあなたの気持ちが温かく伝わるための、一歩進んだポイントをご紹介します。
声のトーンと表情で気持ちを伝える
言葉の内容だけでなく、それを伝える声のトーンや表情も非常に重要です。明るすぎず、かといって暗すぎず、落ち着いた穏やかな声で、いたわりの表情を浮かべて話すことを心がけましょう。言葉以上に、あなたの非言語的なサインが相手の心に響くことがあります。
長々と話さない、手短に済ませる思いやり
繰り返しになりますが、喪主への配慮として「手短に済ませること」は最大の思いやりです。伝えたいことがたくさんあっても、それはまた後日、少し落ち着いた頃に手紙などで伝える方が良いでしょう。葬儀の場では、簡潔な挨拶に留めるのがマナーです。
故人との思い出を一言添える(上級編)
もし喪主との関係性が近く、場が許すようであれば、「〇〇さんには、以前〇〇で大変お世話になりました。あの時の優しい笑顔が忘れられません」のように、ポジティブで短い思い出を添えるのも良いでしょう。
ただし、これは長話にならないよう注意が必要です。故人を偲ぶ温かい一言は、ご遺族の心を慰めることもあります。
まとめ
今回は、葬儀で喪主にかける挨拶について、マナーや文例を詳しく解説しました。
たくさんの文例やルールをご紹介しましたが、最も大切なことは、故人を悼み、悲しみの中にいる喪主やご遺族を心から気遣う気持ちです。
基本的なマナーを押さえつつ、あなた自身の言葉で誠実な気持ちを伝えれば、きっとその想いは届くはずです。
この記事が、いざという時のあなたのお役に立てれば幸いです。
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