突然の訃報を受け、お葬式に参列することになった際、「受付でどのように挨拶すればいいのだろう…」「失礼のないように振る舞いたいけど、作法が分からない」と不安に感じていませんか?
特に、初めてお葬式に参列する場合や、慣れない場では、緊張して頭が真っ白になってしまうこともありますよね。
ご安心ください。この記事では、お葬式の受付における一連の流れから、立場別の挨拶の文例、香典の渡し方、そして知っておくべきマナーまで、あなたの不安を解消するために必要な情報をすべて網羅的に、そして分かりやすく解説していきます。
この記事を最後まで読めば、自信を持って落ち着いて故人様とのお別れに臨むことができるはずです。さっそく見ていきましょう。

葬儀の受付、基本の流れをまずはおさえよう
まず最初に、お葬式の受付での基本的な流れを把握しておくことが大切です。全体の流れが分かっていれば、次に何をすべきか慌てずに済みます。一般的に、以下の4つのステップで進みます。
受付に到着してからの一連のステップ
STEP1: 受付係へ一礼し、お悔やみの言葉を述べる
受付に到着したら、まずは受付係の方に向かって静かに一礼します。そして、「この度はご愁傷様でございます」など、短くお悔やみの言葉を述べましょう。この時、声のトーンは控えめに、はっきりと伝えることが大切です。
STEP2: 芳名帳に記帳する
お悔やみの言葉を述べた後、受付係から記帳を促されます。芳名帳には、住所と氏名を丁寧に記入します。代理で参列した場合は、本来参列するはずだった人の名前の横に「(代理)」と書き、その下に自分の名前を記入するのがマナーです。
STEP3: 香典を渡す
記帳が終わったら、香典を渡します。ふくさから香典袋を取り出し、受付係の方が文字を読める向きにして、両手で丁寧に手渡します。その際に、「御霊前にお供えください」と一言添えましょう。

STEP4: 返礼品を受け取り、再度一礼する
香典を渡すと、受付係から会葬御礼の品(返礼品)を渡されることがあります。両手で受け取り、「恐れ入ります」と小さく会釈します。最後に、受付係と、もし近くにご遺族がいらっしゃればその方にも再度一礼し、静かにその場を離れます。
【立場別】葬儀の受付で使える挨拶の文例集
受付での挨拶は、故人様との関係性によって少しずつニュアンスが変わります。ここでは、あなたの立場に合わせた挨拶の文例をご紹介します。
基本の挨拶「ご愁傷様です」の意味と使い方
「ご愁傷様です(ごしゅうしょうさまです)」は、お葬式の場で最も一般的に使われるお悔やみの言葉です。「愁」はうれい、「傷」はいたむという意味で、相手の悲しみや心の傷に寄り添う気持ちを表します。
この一言で、お悔やみの気持ちは十分に伝わりますので、言葉に迷ったらまずは「ご愁傷様です」と伝えましょう。
一般の参列者(友人・知人)の場合
友人や知人として参列する場合、シンプルかつ丁寧な挨拶が基本です。
- 「この度はご愁傷様でございます。〇〇(自分の名前)と申します。」
- 「この度は誠にご愁傷様です。心よりお悔やみ申し上げます。」
- 「突然のことで、まだ信じられません。心からご冥福をお祈りいたします。」
会社関係者として参列する場合
会社関係者として参列する場合は、誰の代理なのか、どの立場で来たのかを明確に伝えることが重要です。
上司や同僚の代理で参列したケース
「〇〇(会社名)の〇〇(上司・同僚の名前)の代理でまいりました、〇〇(自分の名前)と申します。この度はご愁傷様でございます。〇〇(上司・同僚の名前)も大変残念がっておりました。」
社員の家族の葬儀に会社を代表して参列したケース
「〇〇株式会社の〇〇(自分の名前)と申します。〇〇(社員名)さんには、いつもお世話になっております。この度は誠にご愁傷様でございます。」

親族として参列する場合
親族の場合は、受付係の方へ労いの言葉をかけると、より丁寧な印象になります。
「ご愁傷様でございます。お世話になります。本日はよろしくお願いいたします。」
親しい間柄であっても、葬儀の場では丁寧な言葉遣いを心がけましょう。
香典の渡し方と言葉、これで完璧!
受付での挨拶と並んで重要なのが、香典の渡し方です。スマートな振る舞いは、故人様やご遺族への敬意の表れです。細かい作法をここで確認しておきましょう。
ふくさから香典袋を取り出すタイミング
香典は、必ず「ふくさ」に包んで持参します。受付の列に並んでいる間に、あらかじめふくさから香典袋を出しておくのはマナー違反です。
自分の順番が来て、記帳を終えた後に、ふくさを開き、香典袋を取り出すのが正しいタイミングです。
香典を渡す際の向きと言葉
香典袋は、たたんだふくさの上に乗せ、受付係から見て正面になるように向きを変えて、両手で差し出します。この一手間が、相手への配慮を示すことにつながります。
「御霊前にお供えください」が一般的
香典を渡す際には、「どうぞ、御霊前(ごれいぜん)にお供えください」と一言添えるのが最も一般的です。
浄土真宗の場合は「御仏前」
注意点として、故人様の宗派が浄土真宗だと事前に分かっている場合は、「御霊前」ではなく「御仏前(ごぶつぜん)」を使います。これは、浄土真宗では亡くなるとすぐに仏になるという教えに基づいています。もし宗派が分からない場合は、「御霊前」としておけば失礼にはあたりません。
知らないと失礼に?受付で避けたいNGワード(忌み言葉)
お悔やみの場では、不幸が重なることや、不吉なことを連想させる「忌み言葉(いみことば)」の使用は避けるのがマナーです。無意識に使ってしまわないよう、事前に確認しておきましょう。
忌み言葉の種類 | 具体例 | 言い換え例 |
---|---|---|
重ね言葉 (不幸が重なることを連想させる) |
たびたび、重ね重ね、くれぐれも、ますます、次々 | いつも、十分に、後ほど |
不吉な言葉 (死や苦しみを連想させる) |
消える、浮かばれない、苦しむ、迷う | お元気だった頃、安らかに |
直接的な表現 (生々しい表現) |
死ぬ、死亡、急死、生きていた頃 | ご逝去、お亡くなりになる、突然のこと、ご生前 |
例えば、「重ね重ねお悔やみ申し上げます」ではなく、「心よりお悔やみ申し上げます」と言い換えるようにしましょう。
こんな時どうする?葬儀受付でのQ&A
ここでは、多くの方が疑問に思う点や、イレギュラーな状況への対応方法をQ&A形式で解説します。
言葉に詰まってしまったらどうすればいい?
A. 無理に言葉を探す必要はありません。
悲しみのあまり言葉が出ないこともあるでしょう。その場合は、深々と一礼するだけでも、あなたの弔意は十分に伝わります。「この度は…」と言いかけて詰まってしまっても、気持ちは伝わるものです。大切なのは、故人を悼む心です。
遅れて到着した場合の挨拶は?
A. まずはお詫びの言葉を添えましょう。
やむを得ない事情で遅れてしまった場合は、受付で「遅くなりまして、大変申し訳ございません。この度はご愁傷様でございます。」と、お詫びの言葉を添えて挨拶をします。式が始まっている場合は、スタッフの指示に従い、静かに入場しましょう。
家族葬での受付の挨拶は?
A. 基本的な挨拶は一般の葬儀と同じです。
家族葬であっても、受付が設けられている場合の挨拶やマナーは基本的に同じです。「この度はご愁傷様でございます」とお悔やみを述べ、香典や記帳はご遺族の意向に従います。香典辞退の意向が示されている場合は、無理に渡さないのがマナーです。

受付がない場合はどうすればいい?
A. 直接ご遺族に挨拶するか、焼香の際に気持ちを伝えます。
小規模な葬儀や家族葬では、受付が設けられていないこともあります。その場合は、会場の入り口でご遺族が出迎えていれば、直接お悔やみを述べ、香典を手渡します。ご遺族が取り込んでいるようであれば、邪魔にならないよう焼香の際に祭壇に香典をお供えし、心の中で手を合わせましょう。
【番外編】受付係を頼まれた側の挨拶と心構え
ここまでは参列者側のマナーを解説してきましたが、逆にご遺族から受付係を頼まれることもあるかもしれません。その際の心構えと挨拶も簡単にご紹介します。
参列者への基本的な挨拶
参列者が見えたら、「本日はお忙しい中、お越しいただきありがとうございます」「恐れ入ります」といった言葉で迎えます。参列者からお悔やみの言葉をいただいた際は、「ご丁寧に恐れ入ります」「恐縮です」と返します。受付係はご遺族の代理であるという意識を持ち、丁寧な対応を心がけましょう。
香典を預かる際の言葉
参列者から香典を差し出されたら、「確かにお預かりいたします」と言って、両手で受け取ります。「ありがとうございます」は感謝の言葉なので、葬儀の場では使わないのが一般的です。
受付係としての服装と持ち物
服装は、参列者と同様に喪服を着用します。寒い時期は、カイロなど防寒対策を忘れずに行いましょう。また、数珠や筆ペン(黒・薄墨)、メモ帳などがあると便利です。
まとめ
今回は、お葬式の受付での挨拶や一連の流れ、知っておくべきマナーについて詳しく解説しました。
最後に、大切なポイントをもう一度おさらいしましょう。
- 受付の流れ: ①一礼してお悔やみ → ②記帳 → ③香典を渡す → ④返礼品を受け取り一礼
- 基本の挨拶: 「この度はご愁傷様でございます」が基本。立場に応じて一言添える。
- 香典の渡し方: 記帳後にふくさから出し、相手の向きで「御霊前にお供えください」と渡す。
- 注意点: 「重ね言葉」や「直接的な表現」などの忌み言葉は避ける。
お葬式の場では、完璧な作法よりも、故人を悼み、ご遺族を思いやる気持ちが何よりも大切です。
この記事でご紹介した基本的なマナーと流れを頭に入れておけば、きっと落ち着いて行動できるはずです。あなたの心からの弔意が、ご遺族にとって何よりの慰めとなることでしょう。
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