大切な方が旅立たれた時、残された私たちにできることは何でしょうか。
その一つに、故人の生涯を振り返り、思い出を分かち合う「葬式スライドショー」の作成があります。
故人の人柄や生きた証を映像と音楽に乗せて伝えるスライドショーは、参列者の心に深く響き、故人を温かく記憶するための大切な時間となります。
この記事では、「葬式スライドショー」の作り方を、準備から具体的な作成方法、そして心に残る演出のヒントまで、初めての方にも分かりやすくご紹介します。
故人への感謝と愛情を込めた、あなただけのスライドショー作成の一助となれば幸いです。
葬式スライドショーの必要性と役割

葬式の知恵袋・イメージ
故人を送る葬儀において、近年多くのご家族が選択されているのが「スライドショー」の上映です。
なぜ今、このスライドショーがこれほどまでに重要視されているのでしょうか。
なぜスライドショーを上映するのか
葬儀において、スライドショーの上映は故人との思い出を共有し、参列者の方々の心に安らぎと温かさをもたらす大切な時間です。
言葉だけでは伝えきれない故人の生きた証や、共に過ごしたかけがえのない瞬間を視覚的に表現することで、より深く故人を偲び、感謝の気持ちを伝えることができます。
形式的な場になりがちな葬儀の中で、スライドショーは故人らしい温かい雰囲気を作り出し、参列者の方々が故人との思い出に浸るきっかけを提供します。
故人を偲ぶメッセージを伝えるために
スライドショーは単なる写真の羅列ではありません。
そこには、故人がどのような人生を歩み、どのような人々と出会い、どのような思い出を紡いできたのかという、かけがえのない物語が詰まっています。
写真一枚一枚に込められたメッセージを、選曲や構成によってさらに深めることで、故人への感謝や愛情を参列者の方々と分かち合うことができます。
まるで故人がそこにいるかのように、その人柄や温かさが伝わるようなスライドショーは、参列者の心に深く響き、故人をいつまでも心に留めておく助けとなるでしょう。
スライドショー作成の準備

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感動的なスライドショーを作成するためには、写真や音楽といった素材の選定が非常に重要です。
心を込めて準備を進めることで、より故人らしい、温かい作品に仕上がります。
写真選びのポイントと枚数
スライドショーの主役は、もちろん故人の写真です。
しかし、ただ写真をたくさん集めれば良いというわけではありません。
故人の人柄や人生が伝わるような、表情豊かな写真を選ぶことが大切です。
例えば、笑顔の写真、趣味に没頭している写真、家族や友人と過ごしている写真など、故人の多様な一面が見えるような写真を選ぶと良いでしょう。
また、古い写真で傷んでいるものがあれば、事前にデジタル化したり、修復したりすることも検討しましょう。
写真の枚数については、上映時間とのバランスを考慮することが重要です。
一般的には、1枚あたり5秒から7秒程度の表示時間を確保すると、写真の内容をゆっくりと見てもらうことができます。
例えば、5分のスライドショーであれば、約40枚から60枚程度の写真が目安となります。

私が作ったスライドショーでは、故人が若かった頃から晩年まで、時系列で写真を並べたことで、人生の歩みが感じられて好評でした。
適切な写真枚数と時間の目安
上映時間 | 写真枚数の目安 | 1枚あたりの表示時間 |
3分 | 25~36枚 | 5~7秒 |
5分 | 40~60枚 | 5~7秒 |
10分 | 80~120枚 | 5~7秒 |
あくまで目安ですので、写真の内容やメッセージに合わせて調整してください。
使用する音楽の選び方と著作権
スライドショーの感動を深める上で、音楽は非常に重要な要素です。
故人が好きだった曲や、故人との思い出の曲を選ぶことはもちろん、故人の人柄やスライドショーの雰囲気に合った曲を選ぶようにしましょう。
静かで心安らぐ曲、故人の人生を象徴するような壮大な曲など、様々な選択肢があります。
ただし、著作権には十分な注意が必要です。
市販のCD音源などを無許可で使用することは、著作権侵害にあたる可能性があります。
葬儀の場であっても、著作権は発生します。
使用したい曲がある場合は、著作権管理団体(JASRACなど)への申請や、著作権フリーの音源、または著作権処理がされた専用の音源を使用するなど、適切な手続きを踏むようにしましょう。

私は著作権フリーの音源サイトから、故人の好きだったジャンルに近いBGMを選びました。事前に試聴して、雰囲気に合うか確認するのがおすすめです。
BGM選定の注意点
- 著作権の確認: 最も重要です。必ず著作権処理済みの音源を使用しましょう。
- 故人の好み: 故人が生前好きだったジャンルやアーティストを考慮しましょう。
- スライドショーの雰囲気: 感動的、厳粛、温かいなど、表現したい雰囲気に合う曲を選びましょう。
- 歌詞の内容: 歌詞がある場合は、葬儀の場にふさわしい内容かを確認しましょう。
故人らしい写真やエピソードの集め方
故人らしいスライドショーを作成するためには、写真だけでなく、それにまつわるエピソードも非常に大切です。
故人の人柄や思い出をより鮮明に伝えるために、ぜひご家族や友人の方々と協力して、素材を集めてみましょう。
家族や親戚、故人の友人などに協力を仰ぎ、写真を提供してもらったり、故人との思い出話を聞かせてもらったりするのも良い方法です。
「この写真の時、こんなことがあったんだよ」「〇〇さんは、こんな人だったんだ」といった具体的なエピソードを添えることで、スライドショーはより深みのあるものになります。
葬式スライドショーの作り方とツール

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スライドショーを作成する際には、様々なツールがあります。
ご自身のスキルやかけられる時間、予算に合わせて最適な方法を選びましょう。
無料で作成できるソフトやアプリ
現在では、無料でスライドショーを作成できるソフトウェアやアプリケーションが数多く存在します。
手軽に始めたい方や、基本的な機能で十分という方には、これらのツールがおすすめです。
パソコンに標準搭載されているソフトや、スマートフォンで手軽に利用できるアプリなど、様々な選択肢があります。
- Windows標準の「フォト」アプリ: Windowsユーザーであれば、特別なソフトをインストールすることなく、写真と動画を組み合わせて簡単なスライドショーを作成できます。
- macOS標準の「写真」アプリ: Macユーザーであれば、「写真」アプリから手軽にスライドショーを作成し、音楽やテーマを設定できます。
- Googleフォト: スマートフォンで撮影した写真を自動でバックアップしてくれるGoogleフォトには、写真を選んで自動でスライドショーを作成する機能もあります。
- Canva(キャンバ): 無料版でも豊富なテンプレートと素材が用意されており、デザイン性の高いスライドショーを直感的に作成できます。
- InShot(インショット): スマートフォン向けの動画編集アプリで、写真の挿入やBGMの追加、テロップの挿入なども手軽にできます。
これらのツールは、操作が比較的簡単で、初めてスライドショーを作成する方でも安心して取り組むことができます。
おすすめの動画編集ソフトと特徴
より凝ったスライドショーを作成したい場合は、専門の動画編集ソフトの利用を検討してみましょう。
これらのソフトは、より高度な編集や演出が可能です。
- Adobe Premiere Elements: 初心者でも扱いやすいように工夫された機能が充実しており、プロのような仕上がりのスライドショーが作成可能です。有料ソフトですが、体験版が提供されている場合もあります。
- DaVinci Resolve(ダビンチリゾルブ): プロも使用する高機能な動画編集ソフトですが、無料版でもほとんどの機能が利用できます。学習コストはかかりますが、ハイクオリティな作品を目指す方におすすめです。
- PowerDirector(パワーディレクター): 直感的なインターフェースと豊富なエフェクトが特徴で、初心者から上級者まで幅広いユーザーに支持されています。
これらのソフトを使うことで、より高度なトランジション(画面切り替え効果)やテロップ、BGMの調整など、細部にまでこだわったスライドショーを作成することができます。

私はDaVinci Resolveの無料版で作成しました。最初は難しかったですが、チュートリアル動画を見ながら操作を覚えました。テロップやエフェクトでかなり表現の幅が広がりますよ。
プロに依頼する場合の費用と流れ
「自分で作る時間がない」「よりクオリティの高いものを作りたい」という場合は、プロの業者にスライドショー制作を依頼するのも一つの方法です。
専門業者ならではの知識と技術で、質の高いスライドショーを作成してくれます。
専門の業者は、写真の補正や編集、適切なBGMの選定、そして葬儀会場での上映環境に合わせたデータ形式での納品など、全てを任せることができます。
費用は業者やスライドショーの長さ、写真の枚数、特殊な演出の有無などによって大きく異なりますが、数万円から十数万円が一般的です。
依頼の流れとしては、まず業者のウェブサイトなどで実績や料金体系を確認し、問い合わせを行います。
その後、写真やエピソードの提供、BGMの希望などを伝え、打ち合わせを経て制作が開始されます。
完成後には、仕上がりを確認し、修正点があれば調整してもらいます。
心に残るスライドショーにするには

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スライドショーは、故人への最後の贈り物です。
単に写真を並べるだけでなく、故人の人柄やご家族の思いが伝わるような工夫を凝らすことで、参列者の心に深く刻まれるものとなるでしょう。
故人の人柄が伝わる構成の工夫
スライドショーは、故人の生涯を物語る一本の映画のようなものです。
単に写真を並べるだけでなく、故人の人柄が伝わるような構成を意識しましょう。
- 時系列: 幼少期から晩年まで、故人の人生の歩みを順に追っていく構成は、変化や成長を感じさせ、深く感情移入できます。
- テーマ別: 故人の趣味、仕事、家族との思い出など、特定のテーマに絞って構成するのも良いでしょう。
- エピソード中心: 各写真にまつわる具体的なエピソードをテロップで添えることで、より故人の人柄が伝わります。
スライドショーの導入部分で故人の生年月日や名前を入れ、結びには参列者への感謝のメッセージや故人からの最後のメッセージを添えるなど、物語性を意識した工夫を凝らしましょう。
感謝の気持ちを伝えるメッセージの入れ方
スライドショーの中に、故人やご遺族からの感謝のメッセージを入れることで、より心温まるものになります。
言葉にすることで、参列者への思いやりが伝わり、感動を深めます。
例えば、スライドショーの最後に「皆様、本日は故人のためにありがとうございました」といった感謝の言葉や、「どうかこれからも、私たち家族を見守ってください」といったメッセージを入れるのも良いでしょう。
また、故人が生前大切にしていた言葉や座右の銘などを、印象的な写真と共に表示するのも感動を深めます。

私はスライドショーの最後に、故人が生前よく言っていた「ありがとう」という言葉を大きく表示しました。シンプルな言葉ですが、参列者の心に深く響いたようです。
参列者が感動する演出のアイデア
スライドショーをより印象的で心に残るものにするために、いくつかの演出アイデアを取り入れてみましょう。
ほんの少しの工夫で、感動の度合いは大きく変わります。
- 手書きメッセージの挿入: 故人の直筆の文字や絵、手紙の一部などをスキャンしてスライドショーに組み込むと、よりパーソナルな温かみが伝わります。
- 故人の声や動画の挿入: 短い音声メッセージや動画クリップを差し込むことで、故人の息遣いや表情が伝わり、臨場感が増します。
- モノクロ写真の活用: 過去の写真をモノクロにすることで、懐かしさや歴史を感じさせる演出ができます。
- 余白の美学: 写真と写真の間や、メッセージの表示中に適度な空白の時間を入れることで、参列者が写真の内容やメッセージをじっくりと噛みしめることができます。
これらの演出は、単なる情報の羅列ではなく、故人の存在をより鮮明に、そして温かく参列者の心に刻む手助けとなるでしょう。
スライドショー上映時の注意点

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せっかく心を込めて作成したスライドショーも、当日きちんと上映できなければ意味がありません。
葬儀会場での上映は、事前に十分な準備と確認が必要です。
会場での上映方法と機材の確認
スライドショーが完成したら、実際に上映する会場での機材や環境を事前に確認することが非常に重要です。
スムーズな上映のために、葬儀場の担当者と綿密な打ち合わせを行いましょう。
- プロジェクター: 会場にプロジェクターがあるか、持ち込みが必要かを確認します。解像度や明るさも確認しておくと良いでしょう。
- スクリーン: スクリーンがあるか、あるいは壁などに投影するのか確認します。
- 音響設備: BGMを流すためのスピーカーやアンプがあるか確認します。
- 接続端子: パソコンや再生機器とプロジェクターを接続するケーブルの種類(HDMI、VGAなど)を確認し、必要なケーブルを持参しましょう。
- 電源: 電源の確保やコンセントの位置も確認が必要です。
葬儀場の担当者と密に連携を取り、リハーサルを行うなどして、本番でスムーズに上映できるように準備を進めましょう。

事前に葬儀会場にプロジェクターとスクリーンの有無、接続ケーブルの種類を確認しておいたおかげで、当日スムーズに準備できました。
トラブルが起きた場合の対処法
万が一、上映中にトラブルが発生した場合に備えて、いくつかの対策を考えておきましょう。
予期せぬ事態にも冷静に対応できるよう、準備をしておくことが大切です。
- 予備のデータ: スライドショーのデータをUSBメモリやクラウドストレージなど、複数の場所に保存しておきましょう。
- 予備の機器: 可能であれば、予備のノートパソコンや再生機器を用意しておくと安心です。
- 簡単な説明書の用意: 上映操作が不慣れな人でも対応できるよう、簡潔な操作手順書を用意しておくのも良いでしょう。
- 担当者との連携: 葬儀場の担当者に、もしもの時の対応について事前に相談しておくと、いざという時に迅速なサポートが受けられます。
スライドショーはあくまで故人を偲ぶための手段の一つです。
完璧を求めすぎず、トラブルが発生しても慌てず、故人への思いを大切にする気持ちを忘れずに対応しましょう。
まとめ

葬式の知恵袋・イメージ
葬式のスライドショーは、故人の人生を振り返り、その温かい思い出を参列者と分かち合うための大切な時間です。
写真選びからBGM、構成に至るまで、一つ一つの工程に故人への愛情と感謝の気持ちを込めることで、心に深く残る感動的なスライドショーが完成します。
著作権など注意すべき点もありますが、今は無料のツールも豊富にあり、ご自身のペースで作成することができます。
もし、ご自身での作成が難しいと感じる場合は、プロの力を借りるのも一つの選択肢です。
故人を偲び、感謝を伝えるこの特別なスライドショーが、皆様にとってかけがえのない時間となることを願っています。
このガイドが、あなたが故人への想いを形にするための一助となれば幸いです。
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