大切な方が亡くなられたとのこと、ご心労いかばかりかと存じます。
突然のことで、何から手をつけて良いのか分からず、不安な気持ちでいっぱいのことでしょう。
特に「お葬式の日程」は、様々なことが絡み合うため、多くの方が頭を悩ませる問題です。
この記事では、「もし今日亡くなったら、お葬式はいつになるのか」「友引が関係すると、どう日程が変わるのか」という疑問に、一つひとつ丁寧にお答えしていきます。
慌ただしい中でも、故人様を穏やかに送るための知識として、どうぞ最後までお読みください。
【最短はいつ?】逝去当日から葬儀までの一般的な流れ

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まず、ご逝去からお葬式まで、どのような流れで進んでいくのかを把握しておきましょう。
全体像が見えるだけで、少し気持ちが落ち着くはずです。
まずはご安置|亡くなってから24時間は火葬できない
ご逝去が確認された後、故人様を自宅や専用の安置施設へとお連れし、ご安置します。
ここで大切なのは、法律上、亡くなってから24時間が経過しないと火葬はできないと定められていることです。
ですから、逝去当日に慌てて火葬やお葬式をすることはありません。
まずは故人様が安らかに休める場所を確保し、心を落ち着ける時間だとお考えください。

祖父が亡くなった時、とにかく何か動かないと、と焦りました。でも「24時間は動かせない」と聞いて、少しだけ冷静になれたのを覚えています。
葬儀社との打ち合わせで日程を決定
故人様をご安置した後、葬儀社と具体的な打ち合わせを行います。
この打ち合わせの中で、お葬式の日程や形式、場所などを決めていくことになります。
日程を決める上で、葬儀社は様々な条件を確認しながら、最適なスケジュールを提案してくれます。
疑問や不安なことは、どんな些細なことでも遠慮なく質問しましょう。
一般的な日程:逝去から2日後にお通夜、3日後に葬儀・告別式
もし、友引などの特別な事情や、火葬場の混雑がなければ、最も一般的な日程は以下のようになります。
- 逝去当日:ご臨終、ご安置
- 逝去の翌日(2日目):お通夜
- 逝去の翌々日(3日目):葬儀・告別式、火葬
これが一つの基本パターンだと覚えておくと、今後の見通しが立てやすくなります。
ただし、これはあくまで最短に近いスケジュールであり、様々な要因で日程は変動します。
「友引」に葬式はNG?知っておきたい六曜との関係

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お葬式の日程を決める上で、多くの方が気にされるのが「友引(ともびき)」です。
なぜ友引は避けられるのか、その理由と正しい知識を身につけておきましょう。
なぜ友引の葬儀は避ける?言葉の意味と慣習
友引は、暦の吉凶を占う「六曜(ろくよう)」の一つです。
もともとは「共引」と書き、「勝負事で引き分ける日」という意味でしたが、いつしか「友を引く」という字が当てられるようになりました。
そこから、「友引に葬儀を行うと、故人が友をあの世へ引っぱっていく(連れていってしまう)」という考えが生まれ、葬儀・告別式を避ける慣習が根付いたのです。
これは仏教の教えとは全く関係のない、日本独自の慣習ですが、参列される方の中には気にする方も多いため、現在でも友引の葬儀は避けるのが一般的です。
友引にお通夜は執り行っても問題ない?
結論から言うと、友引にお通夜を執り行うことは問題ないとされています。
お通夜は、故人様と最後の夜を共に過ごし、別れを惜しむ時間です。
「友を引く」とされる告別の儀式ではないため、友引の日に行っても差し支えない、というのが一般的な考え方です。
日程の都合上、友引の日にお通夜を営むケースは決して珍しくありません。

「お通夜はOKで、葬儀はNG」というのは少し不思議ですよね。葬儀社の方に聞いたら「あくまでお別れの儀式を避ける、ということです」と教えてくれました。
火葬場の多くは友引が休業日|予約前に確認を
友引に葬儀を避ける最も現実的な理由が、多くの公営火葬場が「友引」を休業日に設定していることです。
慣習に合わせて職員の方も休めるように、という理由が大きいようです。
火葬ができないため、必然的にその日の葬儀・告別式も行えない、ということになります。
ただし、すべての火葬場が休業というわけではありません。
一部の民営火葬場や、地域によっては友引でも稼働している公営火葬場(「友引開場」などと呼ばれます)も存在します。
葬儀社と相談する際に、火葬場の空き状況と営業日を必ず確認してもらいましょう。
友引以外の六曜(仏滅や大安など)は気にしなくて良い?
「友引がダメなら、仏滅も縁起が悪いのでは?」と思われるかもしれません。
しかし、お葬式の日程で気にする六曜は、基本的に「友引」だけと考えて差し支えありません。
「仏滅」は仏様も滅するような大凶日とされますが、逆に「物事が滅び、新たに始まる」と解釈され、お葬式にはむしろ差支えない、とする考え方もあります。
また、「大安」は吉日ですが、お祝い事のための日なので、お葬式と結びつけて考える必要はありません。
【日程シミュレーション】今日亡くなったらお通夜・葬式はいつになる?

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では、具体的に「今日」を基準にして、葬儀日程がどうなるのかをシミュレーションしてみましょう。
ケース1:逝去日が「友引」の前日だった場合
これが最もスムーズに進むパターンです。
日程 | 曜日(例) | 六曜(例) | 内容 |
今日 | 火曜日 | 先勝 | ご逝去・ご安置 |
翌日 | 水曜日 | 友引 | 打ち合わせ・準備(お通夜は行わない) |
翌々日 | 木曜日 | 先負 | お通夜 |
3日後 | 金曜日 | 仏滅 | 葬儀・告別式・火葬 |
このケースでは、翌日が友引のため、葬儀・告別式・火葬ができません。
そのため、全体の日程が1日後ろにずれることになります。お通夜は友引の翌日である木曜日、葬儀は金曜日となります。
ケース2:逝去日が「友引」の当日だった場合
友引の当日に亡くなられた場合も、日程は1日ずれる形になります。
日程 | 曜日(例) | 六曜(例) | 内容 |
今日 | 水曜日 | 友引 | ご逝去・ご安置 |
翌日 | 木曜日 | 先負 | 打ち合わせ・お通夜 |
翌々日 | 金曜日 | 仏滅 | 葬儀・告別式・火葬 |
ご逝去当日は友引ですが、前述の通り24時間ルールがあるため、もともと葬儀は行えません。
翌日にお通夜、翌々日に葬儀・告別式となり、比較的スムーズな日程を組むことができます。
ケース3:火葬場の予約が取れず、葬儀が4日後以降になる場合
近年、特に都市部では火葬場の混雑が深刻化しており、亡くなってから葬儀まで4日~1週間ほど日数が空いてしまうことも珍しくありません。
友引が重なったり、年末年始で火葬場が休みだったりすると、さらに待機期間が長くなる可能性があります。
この場合、故人様のお体を綺麗な状態で保つために、ご自宅での安置ではなく、斎場や葬儀社の専用安置施設を利用し、ドライアイスの交換などを専門スタッフに任せるのが一般的です。
日程が空いてしまうとご遺族の心労も増しますが、故人様とゆっくり向き合う時間が増えたと捉え、焦らず準備を進めましょう。

友人の話ですが、火葬場が混んでいて葬儀まで5日かかったそうです。その分、弔問に来てくれる人が多く、故人の思い出話をする時間が増えたと言っていました。
葬儀の日程を決める際に友引以外に考慮すべき3つのこと

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葬儀の日程は、友引と火葬場の空き状況だけで決まるわけではありません。
以下の3つの点も、非常に重要な要素となります。
1. 菩提寺(お寺)など宗教者の都合
菩提寺(先祖代々のお墓があるお寺)がある場合や、特定の宗派の儀式を希望する場合、僧侶(宗教者)のスケジュールを確認する必要があります。
特にお盆やお彼岸の時期は、僧侶が多忙を極めるため、希望の日時に添えないこともあります。
葬儀社との打ち合わせの際に、菩提寺がある旨を必ず伝え、連絡を取ってもらいましょう。
2. 参列してほしい親族のスケジュール
「この人には、どうしても最後のお別れに立ち会ってほしい」という方がいるはずです。
遠方に住んでいる親族が駆けつけるための時間や、仕事の都合なども考慮する必要があります。
誰の参列を最優先に考えるべきか、ご遺族の間でよく話し合うことが大切です。
葬儀は故人のためであると同時に、残された人々のための儀式でもあります。
3. 亡くなった時期や地域の風習
年末年始やゴールデンウィークなどは、火葬場が休業したり、親族が集まりにくかったりするため、日程が通常よりもずれ込むことがあります。
また、地域によっては、友引以外にも特定の慣習があったり、葬儀の進め方が異なったりする場合があります。
経験豊富な地域の葬儀社であれば、そうした地域の事情にも詳しいため、頼りになる相談相手となってくれるでしょう。
まとめ

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最後に、この記事の要点をまとめます。
- 葬儀までの一般的な流れ:逝去→安置(24時間は火葬不可)→葬儀社と打ち合わせ→お通夜→葬儀・告別式
- 最短の日程:逝去の翌日にお通夜、翌々日に葬儀・告別式が基本パターン。
- 友引と葬儀:「友を引く」という慣習から葬儀・告別式は避けるのが一般的。お通夜は行っても問題ないとされる。
- 最大の壁は火葬場:多くの火葬場が友引を休業日にしているため、物理的に葬儀ができないことが多い。
- その他の考慮点:僧侶の都合、主要な親族のスケジュール、地域の風習なども日程に影響する。
大切な方を亡くされた直後で、冷静な判断が難しい状況だと思います。
しかし、焦る必要はまったくありません。
葬儀の日程は、葬儀社のスタッフが様々な条件を整理し、最適な案をいくつか提示してくれます。
あなたとご家族は、その中から故人様と、そして残されたご自身たちにとって最も良い形を選ぶことに集中してください。
何よりも大切なのは、故人様を心から偲び、穏やかにお見送りする気持ちです。
この記事が、あなたの不安を少しでも和らげ、後悔のないお別れをするための一助となれば幸いです。
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