葬式の花代の勘定科目は?経費計上の仕訳と注意点を解説

葬式の花代の勘定科目は?経費計上の仕訳と注意点を解説 葬式
葬式の知恵袋・イメージ

突然の訃報に際し、会社として、あるいは個人事業主としてお悔やみの気持ちを示す「供花」。

真心から送るものですが、経理担当者や事業主の方にとっては、「この花代、経費になるのだろうか?」「勘定科目は何を使えばいいんだろう…」と、頭を悩ませる瞬間でもありますよね。

大丈夫です、ご安心ください。

この記事では、葬式の花代に関する経理処理の全てを、どこよりも分かりやすく、そして丁寧にご説明します。

一見すると複雑に感じるかもしれませんが、ポイントさえ押さえてしまえば、もう迷うことはありません。

この記事を読み終える頃には、自信を持って仕訳ができるようになっているはずです。

広告

葬式の花代を経費にするための基本知識

葬式の花代の勘定科目は?経費計上の仕訳と注意点を解説

葬式の知恵袋・イメージ

まずは、大前提となる基本的な考え方から整理していきましょう。

ここを理解するだけで、応用が利くようになります。

供花代は経費として計上できる

結論から申し上げますと、葬式の花代(供花代)は経費として計上できます。

ただし、それには一つだけ、絶対的な条件があります。

それは、「事業に関連する支出であること」です。

会社の事業を円滑に進めるため、あるいは従業員の労働環境を整えるために必要な支出であれば、経費として認められます。

逆に、事業とは全く関係のない、プライベートな付き合いで送る供花は経費にできません。

誰に送るかで勘定科目が変わる点に注意

ここが最も重要なポイントです。

供花代を経費計上する際の勘定科目は、一つに決まっているわけではありません。

「誰に対して、どのような目的で送ったのか」という、相手との関係性によって使うべき勘定科目が変わってくるのです。

主に使われる勘定科目は、「接待交際費」と「福利厚生費」の2つです。

次章で、具体的なケースを見ながら、その使い分けを詳しく見ていきましょう。

大谷
大谷

僕も経理を始めた頃、慶弔費は全部「接待交際費」で処理して良いと思っていました。相手との関係性が大事だと知って、目から鱗でしたね。

【ケース別】葬式の花代に使う勘定科目と仕訳例

葬式の花代の勘定科目は?経費計上の仕訳と注意点を解説

葬式の知恵袋・イメージ

それでは、最も気になる具体的なケース分けです。

自社の状況と照らし合わせながら、確認してみてください。

供花を送る相手 勘定科目 摘要の記載例
取引先、仕入先、得意先など 接待交際費 供花代(株式会社〇〇様)
自社の役員、従業員、その家族 福利厚生費 供花代(従業員〇〇様ご親族)
事業と無関係の友人、知人など 寄付金 or 経費計上不可

取引先や仕入先へ送る場合:「接待交際費」

事業を円滑に進める上で重要な関係にある取引先やお得意様など、社外の事業者へ供花を送る場合は、「接待交際費」として処理するのが一般的です。

これは、事業関係者との良好な関係を維持し、今後の取引をスムーズにするための支出と見なされるためです。

【仕訳例】取引先社長の葬儀に15,000円の供花を現金で送った

借方 金額 貸方 金額
接待交際費 15,000円 現金 15,000円

自社の役員・従業員やその家族へ送る場合:「福利厚生費」

自社の役員や従業員、またはそのご家族の不幸に際して会社として供花を送る場合は、「福利厚生費」として処理します。

これは、従業員の満足度を高め、働きやすい環境を整えるための費用、つまり福利厚生の一環と見なされるためです。

ただし、この処理をスムーズに行うためには、「慶弔見舞金規程」のような社内ルールを定めておくことが理想的です。

規程で「従業員の二親等以内の親族が亡くなった場合は、会社から一対〇〇円の供花を出す」といった基準を明確にしておけば、税務調査の際にも福利厚生費として主張しやすくなります。

【仕訳例】従業員の親族の葬儀に10,000円の供花を普通預金から振り込んだ

借方 金額 貸方 金額
福利厚生費 10,000円 普通預金 10,000円

事業と直接関係ない知人・友人へ送る場合:「寄付金」または経費計上不可

社長個人の友人や、事業とは直接的な関わりのない知人へ供花を送る場合、その費用は原則として経費にすることはできません。

もし会社のお金から支出した場合は、役員に対する個人的な貸付金として「役員貸付金」などの勘定科目で処理することになります。

ただし、国や地方公共団体、特定の公益法人などへの支出であれば「寄付金」として扱えるケースもありますが、一般的な葬儀の供花でこのケースに該当することは稀でしょう。

個人事業主が供花代を支払った場合の勘定科目は?

個人事業主の方も、勘定科目の考え方は法人と基本的に同じです。

ただし、一点だけ、法人にはない特有の注意点があります。

取引先への供花は「接待交際費」

事業上の付き合いがある取引先へ供花を送る場合は、法人と同様に「接待交際費」で処理します。

従業員への供花は「福利厚生費」

従業員を雇用している個人事業主の場合、その従業員や家族のために送る供花は「福利厚生費」として計上できます。

大谷
大谷

個人事業主だと、つい公私混同しがちですよね。事業用のお金とプライベートのお金は、きっちり分けて管理するのが経費計上の大原則です!

事業主本人やその家族への供花は経費にできない

ここが最大の注意点です。

個人事業主本人や、その生計を同一にする家族(配偶者や子供など)の葬儀に際して支出した供花代は、経費にすることはできません。

これは事業上の経費ではなく、個人の家計から支出すべき「家事費」と見なされるためです。

もし事業用の資金から支払った場合は、「事業主貸」という勘定科目を使って処理します。

【仕訳例】事業用の現金から、事業主の親族の葬儀に10,000円の供花代を支払った

借方 金額 貸方 金額
事業主貸 10,000円 現金 10,000円

葬式の花代に関する経理処理での注意点

勘定科目の使い分けと合わせて、実務で間違いやすいポイントや、知っておくと便利な知識をご紹介します。

消費税の扱いはどうなる?課税仕入れになる?

供花代は、消費税の課税対象です。

つまり、支払い時に支払った消費税は「課税仕入れ」となり、消費税の申告時に仕入税額控除の対象となります。

一方で、よく混同されがちな「香典」は、お悔やみの気持ちを表す贈与であり、対価性がないため消費税の対象外(不課税取引)です。

この違いは非常に重要なので、しっかりと区別しましょう。

支出内容 勘定科目(一例) 消費税の区分
供花代 接待交際費、福利厚生費 課税仕入れ
香典 接待交際費、福利厚生費 不課税
弔電代 通信費 課税仕入れ
お見舞金 福利厚生費など 不課税

領収書がない場合の対処法:案内状や会葬礼状を保管

葬儀の場では、慌ただしく領収書をもらいそびれたり、そもそも発行されないケースも少なくありません。

しかし、領収書がないからといって経費計上を諦める必要はありません。

税務上、経費として認められるためには、「取引の事実を客観的に証明できる書類」があれば良いのです。

具体的には、以下の書類をセットで保管しておきましょう。

  • 葬儀の案内状(訃報のお知らせなど)
  • 会葬礼状
  • 花屋から受け取った請求書や支払明細書
  • クレジットカードの利用明細

もし手元に何もない場合は、出金伝票などに「日付」「支払先(〇〇様 葬儀)」「金額」「内容(供花代として)」を自分で記録しておくだけでも、証拠能力が高まります。

大谷
大谷

会葬礼状って、つい捨ててしまいがちですが、立派な経費の証拠になります。僕は、慶弔関係の書類は専用のクリアファイルにまとめて保管しています。

香典との違いと会計処理の方法

前述の通り、供花と香典は消費税の扱いに大きな違いがあります。

勘定科目は同じ「接待交際費」や「福利厚生費」を使うことが多いですが、会計ソフトに入力する際は、消費税区分を正しく設定することが不可欠です。

供花代は「課税」、香典は「不課税(または対象外)」と、明確に分けて処理する癖をつけましょう。

勘定科目の判断に迷ったときのポイント

これまでの説明でほとんどのケースに対応できるはずですが、それでも判断に迷うようなイレギュラーなケースに遭遇することもあるかもしれません。

そんな時は、以下の3つの視点で考えてみてください。

事業との関連性が明確か

全ての経費に共通する大原則に立ち返りましょう。

「この供花は、自社の事業にとってなぜ必要なのか?」を、第三者に明確に説明できるかどうかが一つの判断基準になります。

説明に窮するような支出は、経費として認められない可能性が高いと考えるべきです。

社会通念上、妥当な金額か

供花の金額にも注意が必要です。

取引先との関係性にもよりますが、あまりに高額すぎる供花は「本当に事業に必要なのか?」と疑問視され、税務調査で否認されるリスクがあります。

常識の範囲内、つまり社会通念上妥当とされる金額であることが大切です。

税理士など専門家への相談も検討

どうしても判断に迷う場合や、金額が大きい場合、あるいは会社の慶弔費に関するルールを根本から整備したいと考えている場合は、迷わず専門家である税理士に相談しましょう。

自己判断で誤った処理を続けてしまうよりも、的確なアドバイスをもらう方が、結果的に時間もコストも節約できます。

まとめ

最後に、この記事の重要なポイントをもう一度おさらいしましょう。

  • 葬式の花代は、事業に関連するものであれば経費にできる。
  • 勘定科目は相手との関係性で決まる。
    • 社外(取引先など)へは「接待交際費」
    • 社内(従業員など)へは「福利厚生費」
  • 個人事業主が自身の家族へ送る場合は「事業主貸」で処理する。
  • 供花代は「課税仕入れ」、香典は「不課税」なので注意。
  • 領収書がなくても、案内状や会葬礼状を証拠として保管する。

お悔やみの気持ちを伝える大切な供花。

その裏側にある経理処理は、一見すると地味で面倒な作業に思えるかもしれません。

しかし、ルールに則って正しく処理することは、会社の資産を適切に管理し、社会的な信用を守る上で非常に大切な業務です。

この記事が、あなたの「どうしよう…」という不安を「なるほど!」という自信に変える一助となれば、これほど嬉しいことはありません。

【関連記事】

【参考資料】

広告
【この記事を書いた人】
大谷

「葬式の知恵袋」運営者の大谷です。

私自身の経験から、葬儀に関する不安や疑問を抱える方々の力になりたいと願い、このサイトを立ち上げました。

正確で分かりやすい情報を通じて、あなたが後悔のないお見送りができるようサポートします。

※記事の執筆には一部AIを利用しております。AIの回答には間違いが含まれている場合があり、必ずしも正しいとは限りません。重要な情報は確認するようにしてください。誤情報による記事の修正依頼はお問い合わせページよりお願いします。
葬式
シェアする