突然の訃報に際し、お葬式の準備を進める中で「あれ、このピアス、外せない…どうしよう」と焦っていませんか。
あるいは、ピアスを開けたばかりで、どうしても外すことができない状況かもしれません。
故人を悼む大切な場で、マナー違反だと思われたくない、でも物理的に外せない。
そのお気持ち、とてもよく分かります。
ご安心ください。
この記事では、葬儀におけるピアスの基本マナーから、どうしても外せない場合の具体的な対処法、そして気持ちよく故人をお見送りするための心の持ちようまで、一つひとつ丁寧にお伝えしていきます。
大切なのは、マナーの知識と、何よりも故人を偲ぶあなたの心です。
この記事を読み終える頃には、あなたの不安はきっと解消されているはずです。
葬儀のピアスは外すべき?知っておきたい基本マナー

葬式の知恵袋・イメージ
まず結論からお伝えすると、葬儀の場ではピアスをはじめとするアクセサリーは、基本的に外すのがマナーとされています。
なぜなら、お葬式は故人との最後のお別れをする、厳粛で神聖な場だからです。
主役はあくまで故人であり、遺族の悲しみに寄り添うため、参列者は自分を華やかに飾るものを極力控えるのが礼儀とされています。
原則として結婚指輪以外のアクセサリーは外す
葬儀の場で唯一、身につけて良いとされるアクセサリーは結婚指輪です。
これは「故人との永遠の別れ」を前に、「パートナーとの永遠の誓い」を示す指輪は例外的に許される、という考え方に基づいています。
それ以外のネックレスやイヤリング、ブレスレット、そしてピアスは「おしゃれ」や「装飾品」と見なされるため、外していくのが一般的です。
男女問わずピアスはマナー違反と見なされる可能性
このマナーは、女性だけでなく男性も同様です。
最近では男性のピアスもファッションとして広く認知されていますが、ご年配の方や地域によっては、まだ快く思われないケースも少なくありません。
「常識がない」といった無用な誤解を避け、故人を偲ぶことに集中するためにも、男女を問わず外すのが最も望ましい選択と言えるでしょう。

親族の葬儀で、若い従兄弟がピアスについて遠回しに注意されていました。悪気はなくても、見る人によっては気になるものなのだと実感しましたね。
故人を偲ぶ気持ちが最も大切
ここまでマナーについてお話ししてきましたが、何よりも忘れてはならないのは、故人を心から悼む気持ちです。
マナーは、その気持ちを形として示すための手段の一つに過ぎません。
ピアスのことで頭がいっぱいになり、お別れに集中できないのであれば本末転倒です。
これからお伝えする対処法を参考に、あなたが心穏やかに故人をお見送りできるよう、一緒に考えていきましょう。
【理由別】ピアスが外せない場合の具体的な対処法

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「マナーは分かった。でも、本当に外せないんだ…」という方のために、具体的な理由別の対処法を見ていきましょう。
無理は禁物です。
あなたの状況に合った方法を選んでください。
ファーストピアスで外せない場合
ピアスホールを開けてから日が浅い場合、ホールが安定するまではファーストピアスを付けっぱなしにするのが基本です。
この時期に無理に外すと、ホールを傷つけて出血や炎症を起こしたり、最悪の場合、せっかく開けたホールが塞がってしまったりする危険性があります。
絶対に無理やり外そうとしないでください。
この場合は、後述する「隠す方法」を実践するのが最も安全で確実な対処法となります。
キャッチが固い・埋まっているなど物理的に外せない場合
長年つけっぱなしにしていたり、ボールタイプのキャッチが固く締まっていたりして、自力では外せないこともあります。
また、ピアスのヘッドが皮膚に少し埋まってしまっているケースも考えられます。
まずは落ち着いて、滑り止めのついたゴム手袋などを使い、再度試してみてください。
それでも難しい場合は、ご家族や友人に手伝ってもらうのも一つの手です。
最終手段として、どうしても外れない場合は、皮膚科やピアススタジオに相談することも検討しましょう。
ただし、葬儀の当日に駆け込むのは難しいため、これはあくまで事前の対処となります。
金属アレルギー用のピアスを外したくない場合
金属アレルギー対応の、高価な素材や特殊な素材のピアスをされている方もいるでしょう。
一度外すと、再度装着する際にアレルギー反応が出てしまう不安から、外したくないというお気持ちもよく分かります.
この場合も、ファーストピアスと同様に無理はせず、「隠す」という選択肢を積極的に検討しましょう。
葬儀でピアスを上手に隠す方法と注意点

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ピアスを外せない場合の最も有効な手段が「隠す」ことです。
いくつかの方法がありますので、ご自身のピアスの位置や髪型に合わせて試してみてください。
髪型を工夫して耳元を隠す
髪の毛で自然に耳を覆い隠すのが、最も簡単な方法です。
- 女性の場合
- ダウンスタイルにする。
- 耳が隠れるくらいの高さで、緩めのまとめ髪にする(夜会巻きなどきっちりしたアップスタイルは耳が出やすいので避ける)。
- 男性の場合
- 少し長めの髪型であれば、ワックスなどで耳にかかるようにスタイリングする。
ただし、お辞儀をした際などに髪が揺れて、ピアスが見えてしまう可能性はあります。
他の方法と組み合わせると、より安心です。
肌色の絆創膏や医療用テープで隠す方法
小さく切った肌色の絆創膏や、医療用のサージカルテープをピアスのヘッド部分に貼って隠す方法です。
【ポイント】
- できるだけ小さいサイズのものを選ぶか、ピアスの大きさギリギリにカットする。
- 自分の肌の色に近い、目立たない色のテープを選ぶ。
- 粘着力が強すぎると肌を傷める可能性があるので注意する。
ドラッグストアなどで手軽に購入できるのがメリットです。

絆創膏は意外と「貼ってます感」が出やすいです。小さくカットして、ピアスヘッドにちょこんと乗せるように貼るのが、目立たなくするコツですよ。
ファンデーションやコンシーラーを使う際のポイント
肌色のテープよりもさらに目立たなくしたい場合は、メイク道具を使うのも有効です。
特に、カバー力の高いコンシーラーがおすすめです。
【手順】
- ピアスのヘッドとその周辺を清潔にする。
- スティックタイプやクリームタイプのコンシーラーを、ピアスのヘッドに直接、少量つける。
- 指や小さなブラシで、ポンポンと優しく叩き込むようにして、周りの肌との境目をぼかす。
- 上からフェイスパウダーを軽くはたいておくと、ヨレにくくなり、マスクへの付着も防げます。
※注意点
不安定なピアスホールの場合、化粧品がホール内に入ると炎症の原因になることがあります。ホールが安定している場合にのみ、自己責任で行ってください。
透明ピアスや肌色のピアスに付け替えるのは有効?
もしピアスホールが安定していて、付け替えが可能なのであれば、透明ピアスや肌色のピアスに交換するのが最も目立たない方法です。
これらは「ピアスホールを維持するためのもの」であり、装飾品という印象を与えません。
素材は樹脂製のものが一般的ですが、衛生面を考えるとガラス製のリテーナー(ホールを維持するためのピアス)もおすすめです。
事前に準備できるのであれば、これが最善策の一つと言えるでしょう。
どうしてもピアスを付ける場合の選び方と許容範囲

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隠すことも難しい、という場合の最終手段です。
ただし、これはあくまで「何もしないよりは良い」というレベルの次善の策であり、マナーとして推奨されるものではないことを心に留めておいてください。
許される可能性のあるデザインとは?(真珠・オニキスの一粒タイプなど)
葬儀で許される宝石は、涙を象徴する「真珠(パール)」や、モーニングジュエリー(弔事用の宝飾品)である「ジェット」「オニキス」などが知られています。
もしピアスを付けるのであれば、これらの宝石を使った、飾りのないシンプルな一粒タイプのものにしましょう。
大きさも、直径7mm以下の小ぶりなものが望ましいです。
これらは、ネックレスやイヤリングであればマナーの範囲内とされるため、ピアスであっても比較的、悪目立ちしにくいと考えられます。
絶対に避けるべきピアスの特徴
以下の特徴を持つピアスは、弔事の場にふさわしくないとされています。
絶対に避けましょう。
- 揺れる、垂れ下がるデザイン
- ゴールドなど、光沢が強い派手な色のもの
- 複数の宝石がついているもの
- 大ぶりなデザインのもの
- キャラクターや奇抜なモチーフのもの
これらは「おしゃれ」をしている印象を強く与え、周囲に不快感を与えかねません。
軟骨ピアスやボディピアスの場合はどうする?
耳たぶ以外の、軟骨(ヘリックス、トラガスなど)や、眉、鼻、口などのボディピアスも、基本的な考え方は同じです。
むしろ、耳たぶのピアスよりも目立ちやすく、ファッション性が高いと見なされる傾向が強いため、可能な限り外すか、絆創膏などで完全に隠すことを強く推奨します。
葬式のピアスに関するよくある質問

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ここでは、多くの方が抱くであろう細かな疑問について、Q&A形式でお答えします。
Q. 親族の葬儀と一般の弔問客で対応は変わる?
A. はい、変わると考えた方がよいでしょう。
親族は、故人に近い立場として、より厳格なマナーが求められます。
一般の弔問客以上に、周囲の目が厳しくなることを意識し、できる限りマナーに沿った対応(外すか、完全に隠す)を心がけるべきです。
Q. 葬儀の場でピアスについて指摘されたらどうすればいい?
A. 万が一、どなたかに指摘されてしまった場合は、決して感情的にならず、冷静に対応しましょう。
まずは「ご不快な思いをさせてしまい、申し訳ありません」と素直にお詫びの言葉を述べます。
その上で、「実はピアスを開けたばかりで外すことができず、大変失礼いたしました」のように、外せない事情を簡潔に、かつ丁寧に説明しましょう。
誠意ある態度で伝えれば、ほとんどの場合は理解していただけるはずです。

言い訳がましく聞こえないよう「申し訳ない」という気持ちを先に見せることが肝心です。誠意があれば、相手の受け取り方も大きく変わります。
Q. 学生(高校生など)の場合もマナーは同じ?
A. はい、学生であってもマナーは同じです。
むしろ、学校によっては校則でピアスが禁止されている場合もあり、先生や地域の方からより厳しい目で見られる可能性も考慮すべきです。
大人と同じように、外すか隠すかの対応をしっかりと行いましょう。
まとめ

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今回は、お葬式でピアスが外せない場合の対処法について詳しく解説してきました。
最後に、大切なポイントを振り返っておきましょう。
- 基本マナー:葬儀のピアスは、結婚指輪を除き、男女問わず外すのが原則。
- 外せない場合:ファーストピアスなど、事情がある場合は無理に外さない。
- 最善の対処法:髪型や絆創膏、コンシーラー、透明ピアスなどで「隠す」ことを第一に考える。
- 最終手段:どうしても付けるなら、真珠などの一粒タイプのシンプルなものを選ぶ。
- 心の持ちよう:指摘されたら素直に謝罪し、事情を説明する。
様々なルールや対処法をお伝えしましたが、繰り返しになるように、最も尊いのはあなたが故人を想い、悼むその心です。
マナーは、その大切な気持ちを周囲の人々と共有し、厳粛な場の調和を保つための知恵です。
ピアスのことで悩みすぎず、この記事で得た知識を「安心材料」として、どうぞ心穏やかに、大切な方とのお別れの時をお過ごしください。
あなたの真摯な気持ちは、きっと故人にも、ご遺族にも伝わるはずです。
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