夫の親族の訃報に際し、謹んでお悔やみ申し上げます。
慣れない葬儀の場で、「嫁」という立場だからこそ、どう振る舞えば良いのか、特に「席順」はどこに座るべきなのか、不安に感じていらっしゃるかもしれませんね。
「場違いな場所に座って、夫や親族に恥をかかせてしまったらどうしよう…」
そのように心配されるお気持ち、とてもよく分かります。
でも、ご安心ください。
この記事では、葬儀における嫁の席順の基本ルールから、いざという時に迷わないための具体的な知識、そして席順以外に心得ておきたい大切なマナーまで、一つひとつ丁寧に解説していきます。
この記事を読み終える頃には、あなたの不安はきっと自信に変わっているはずです。
心を込めて故人様をお見送りできるよう、一緒に確認していきましょう。
葬儀で迷わない!「嫁」の席順は故人との関係性が基本

葬式の知恵袋・イメージ
まず、一番大切な結論からお伝えします。
「嫁」であるあなたは、血縁がなくても「家族の一員」ですから、一般参列者席ではなく「親族席」に座るのが基本です。
遠慮して後方の席に座ってしまう方もいらっしゃいますが、それはかえって他の親族を困惑させてしまう可能性もあります。
葬儀の席順は、単純な先着順や年齢順ではありません。
「故人様といかに近しい関係であったか」
この「関係性の深さ」が、席順を決める最も重要なものさしになります。
あなたは故人様の子の配偶者であり、遺族にとって非常に近しい存在です。
堂々と、親族席に座る心構えでいてくださいね。

僕も最初は戸惑いましたが、この「故人との関係の近さ」が一番の基準だと覚えておけば大丈夫ですよ。
知っておきたい葬儀の席順ルール|祭壇に近い席が上座

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では、親族席の中で、具体的にどのあたりに座れば良いのでしょうか。
それを理解するために、まずは葬儀全体の席順の基本ルールを知っておきましょう。
故人との関係が深い人から上座に着席
葬儀の会場では、祭壇に最も近い席が「上座(かみざ)」、出入口に近い席が「下座(しもざ)」となります。
そして、故人様と関係が深い方から順に、上座から着席するのが絶対的なルールです。
一般的な着席順
- 喪主
- 遺族(故人の配偶者、子、親、兄弟姉妹など)
- 親族(上記以外の親戚)
- 一般参列者(友人、知人、会社関係者など)
このように、血縁や関係性が濃い順に、祭壇の近くに座るのだと覚えておきましょう。
祭壇に向かって右側が親族席、左側が一般参列者席
一般的な葬儀会場では、祭壇に向かって右側のブロックが「遺族・親族席」、左側のブロックが「一般参列者席」と分けられています。
斎主(僧侶など)が座る位置を基準に、そのすぐ後ろが遺族・親族席と考えると分かりやすいかもしれません。
ただし、これはあくまで一般的な配置です。
会場のレイアウトや地域の慣習によっては左右が逆になるケースも稀にあります。
最終的には、当日の会場の案内表示や、案内係の方の指示に従うのが最も確実で安心です。
葬式における嫁の具体的な席順

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基本ルールが分かったところで、いよいよ本題である「嫁」の具体的な席順について見ていきましょう。
夫の隣、またはすぐ後ろが基本の位置
「嫁」であるあなたの席は、配偶者である夫の隣、もしくはすぐ真後ろが基本の位置となります。
- 横並びの椅子の場合:夫の隣に座ります。
- 席が狭く、前後に並ぶ場合:夫の真後ろに座ります。
夫は「故人の子」として、喪主や他の兄弟とともに最前列に近い上座に座ることになります。
あなたは「〇〇家の一員」として夫と一体と見なされるため、夫のすぐそばがあなたの定位置となるのです。
「私は血が繋がっていないから…」と遠慮する必要は全くありません。
夫の隣に座り、共に故人様をお見送りすることが、あなたの務めであり、他の親族に対する礼儀でもあります。

妻が自分のすぐ隣にいてくれると、夫としても心強いものです。遠慮せず隣に座ってくださいね。
子供と一緒に参列する場合の席は?
お子様と一緒に参列する場合、お子様の席にも迷いますよね。
子供は親と行動を共にするのが基本ですので、夫婦の間や、母親(あなた)の隣に座らせてあげるのが一般的です。
ただし、まだ小さなお子様の場合、静かな式中にぐずってしまわないか心配になることもあるでしょう。
そのような時は、あらかじめ出入口に近い下座寄りの席を選んでおくのも一つの賢明な判断です。
そうすれば、万が一の時も他の参列者に気兼ねなく、さっと席を立つことができます。
このあたりは、事前に夫や義両親に「子供がおりますので、少し後ろの席でもよろしいでしょうか?」と一言相談しておくと、よりスムーズでしょう。
自分の両親(嫁の親)はどこに座る?
「私の両親も参列してくれるんだけど、席はどこになるの?」という疑問もよく聞かれます。
嫁側の両親は、故人から見ると「子の配偶者の親」という関係になります。
親族として参列していただくのが一般的ですが、その場合の席順は、夫側の親族(故人の兄弟姉妹など)よりも下座側、親族席の後方に着席いただくことが多いです。
これも両家の関係性や地域の慣習によって変わる部分ですので、事前に夫を通じて喪主や義両親に確認し、ご自身の両親に伝えておくと、当日お互いに迷うことがなく安心です。
家族葬の場合の席順はどうなる?
近年増えている家族葬では、席順はどうなるのでしょうか。
基本的な考え方は一般の葬儀と全く同じで、故人との関係性が深い順に上座から着席します。
ただ、参列者がごく近しい身内に限られるため、席次を厳密に決めず、ある程度自由に座るケースも少なくありません。
とはいえ、やはり喪主や故人の配偶者が座るべき場所は決まっています。
このような場合も、勝手に判断せず、まずは喪主や義両親に「お席はどちらにすればよろしいでしょうか?」と一言尋ねる心遣いが、円滑な関係を築く上でとても大切になります。
席順以外も重要!「嫁」として葬儀で心得たいマナー

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葬儀の場では、席順以外にも「嫁」として心得ておきたいマナーがいくつかあります。
これらを知っておくことで、より安心して故人様とのお別れに臨むことができます。
受付や手伝いはどこまで求められる?
あなたは遺族の一員ですから、お客様をお迎えし、サポートする側に回ります。
ただし、葬儀には進行役や世話役の方がいる場合も多く、勝手な行動はかえって混乱を招くことも。
大切なのは、まず義母や親族の女性方に「何かお手伝いできることはありますでしょうか?」と声をかけることです。
お茶出しや会場の簡単な片付けなど、指示されたことを丁寧に行いましょう。
「何かしたい」という気持ちはとても尊いですが、まずは「指示を待つ」という姿勢が、嫁としての賢明な振る舞いと言えます。

「何かありますか?」の一言が、関係性を円滑にします。気負わず、でも気遣いは忘れずに。
服装の基本マナーと注意点
服装は、光沢のない黒の準喪服(フォーマルスーツやアンサンブル、ワンピース)が基本です。
以下の点に注意し、「おしゃれ」ではなく「控えめ」を徹底しましょう。
- 肌の露出:夏場でも長袖か五分〜七分袖を選び、スカート丈は膝が隠れる長さに。
- アクセサリー:結婚指輪以外は外すのが無難。着けるなら一連のパールネックレスのみ。
- メイク:派手な色を使わないナチュラルな片化粧(かたげしょう)を。
- 髪型:長い髪は低い位置で一つにまとめるなど、清潔感を意識。
- 足元:黒の薄手のストッキングと、光沢や飾りのない黒のパンプスを。
香典の金額相場と表書きの書き方
多くの場合、香典は世帯で一つにまとめ、世帯主である夫の名前で出します。
あなたが個人的に用意する必要はありません。
金額の相場は、故人との関係性によって異なります。
故人との関係 | 金額の相場 |
義理の親 | 5万円 ~ 10万円 |
義理の兄弟姉妹 | 3万円 ~ 5万円 |
その他の親族 | 1万円 ~ 3万円 |
表書きは、仏式の多くの宗派で使える「御霊前」と書くのが一般的です。
もし宗派が浄土真宗だと分かっている場合は「御仏前」とします。
親族や参列者への挨拶と立ち居振る舞い
遺族席に座っていると、一般の参列者からお悔やみの言葉をかけられる場面があります。
その際は、「本日はご多忙のところ、誠に恐れ入ります」「ありがとうございます」と、深く頭を下げて丁寧に対応しましょう。
親族間での会話も、故人の思い出を語り合うのは良いことですが、大声で話したり、久しぶりに会ったからと世間話で盛り上がったりするのは厳禁です。
常に故人とご遺族を思いやり、静かで控えめな立ち居振る舞いを心がけることが何よりも大切です。
まとめ

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最後に、この記事の要点をもう一度振り返っておきましょう。
- 嫁の席は「親族席」。遠慮せず、故人に近い場所に座る。
- 基本の位置は「夫の隣、または真後ろ」。夫と一体と考える。
- 席順のルールは「故人との関係性の深さ」。祭壇に近い席が上座。
- 迷ったら案内係や親族に尋ねるのが最も確実で丁寧。
- 席順以外のマナー(手伝い、服装、挨拶など)も心得て、遺族を支える気持ちを大切にする。
葬儀という非日常の空間では、誰でも戸惑い、不安になるものです。
しかし、一番大切なのは、故人を敬い、心を込めてお別れをする気持ちです。
その気持ちと、今日ここで得た知識があれば、もう何も心配することはありません。
あなたは夫を支え、遺族に寄り添う、立派な家族の一員です。
どうぞ自信を持って、故人様との最後の時間に臨んでください。
あなたの優しい心遣いが、きっと悲しみの中にいるご遺族の慰めとなるはずです。
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