大切な方の最期の場であるお葬式。厳粛な雰囲気の中で故人をお見送りするために、身だしなみには細心の注意を払いたいものです。特に、ロングヘアの方は「髪を下ろしたままでも良いのか」「どのような髪型が適切なのか」と悩むことも多いのではないでしょうか。
このページでは、お葬式におけるロングヘアのマナーについて、「下ろしたまま」が許容されるケースと避けるべきケース、そして故人への敬意を示せる適切な髪型を具体的に解説します。
葬儀という場にふさわしい、清潔感があり、故人とご遺族への配慮が伝わる髪型を見つけるためのお手伝いができれば幸いです。
この記事を読み終える頃には、あなたは自信を持って葬儀に臨めるだけでなく、他の参列者への心配りもできる、真の意味でのマナー美人になっていることでしょう。
さあ、一緒に葬儀の髪型マナーの核心に迫りましょう。
お葬式でロングヘアを下ろしたままは失礼?基本的なマナーを理解しよう
お葬式における髪型は、故人への敬意とご遺族への配慮を示す大切な要素です。
「ロングヘアを下ろしたまま」が失礼にあたるかどうかは、いくつかのポイントで判断が異なります。

なぜお葬式では「清潔感」と「控えめ」が重視されるのか?
お葬式という場では、派手な服装や髪型は控え、シンプルで清潔感のある身だしなみが求められます。
これは、故人を悼み、ご遺族に寄り添うという目的から、参列者自身が目立つことを避けるためです。
髪型も例外ではなく、顔にかからない、邪魔にならない、飾りすぎないといった配慮が重要になります。
故人への敬意とご遺族への配慮
髪が顔にかかったり、不自然に揺れたりすると、お焼香の際などに邪魔になる可能性があります。特に、頭を下げる動作が多い葬儀では、髪が顔に垂れ下がり、手で払う仕草はだらしなく映りかねません。
また、過度なヘアアレンジや明るい髪色は、厳粛な場にはそぐわず、周囲の目を引いてしまうことがあります。
これは、故人やご遺族への配慮を欠く行為とみなされる可能性があるため、控えめであることが大切なのです。
「自分がおしゃれに見られたい」という気持ちは一旦胸にしまい、故人を悼む気持ちを最優先にするのが、この場での大人の振る舞いと言えるでしょう。
宗教・宗派による違いはある?
一般的なお葬式における髪型のマナーは、宗教や宗派による大きな違いはありません。
仏教、神道、キリスト教など、いずれの形式のお葬式においても、清潔感と控えめさが基本原則となります。
ただし、ごく稀に特定の宗派や地域で詳細な規定がある場合もありますので、もし不安な場合は、その地域の葬儀社やご親族に事前に確認することをおすすめします。
特に、故人の出身地の風習などがある場合は、それに従うのが最も無難でしょう。
ロングヘアを下ろしたまま参列しても良いケースとは?
基本的に、お葬式では髪をまとめるのがマナーとされていますが、ロングヘアを下ろしたままでも許容されるケースも存在します。これは、あくまで「例外的な許容範囲」であり、可能な限りまとめる努力が求められることを念頭に置いてください。
ここでは、その判断基準と注意点について詳しく見ていきましょう。
長さが短めで、顔にかからない場合
ロングヘアの中でも、肩につかない程度の長さ(ミディアムヘア)や、鎖骨あたりまでの長さ(セミロングヘア)であれば、下ろしたままでも許容されることがあります。
ただし、その場合でも以下の点に注意が必要です。
- 顔にかからないようにする: お焼香などで頭を下げる際に、髪が顔にかからないよう、耳にかける、目立たない黒いピンでサイドを留めるなどの工夫をしましょう。前髪も目にかからない長さに整えるか、サイドに流すのがマナーです。
- 清潔感を保つ: 髪がパサついていたり、寝癖がついているのは厳禁です。しっかりとブラッシングし、まとまりのある自然なストレートヘアにしておきましょう。艶出しスプレーなども控えめにし、あくまでマットな質感を意識してください。
- 派手なアレンジは避ける: 巻き髪や過度なボリュームは避け、あくまでも自然なストレートヘアを意識してください。ストレートアイロンで丁寧に整えるだけでも、清潔感は格段に上がります。

髪色が自然な色の場合
ヘアカラーをしている場合でも、黒や濃いブラウン、ダークアッシュなどの自然な色であれば、下ろしたままでも問題ありません。
しかし、以下のような髪色は控えるべきです。
- 明るすぎる髪色: 金髪や明るい茶髪、アッシュ系の明るい色などは、お葬式には不適切です。周囲に不快感を与えかねません。一時的に黒染めスプレーなどを使用することを強く検討しましょう。
- メッシュやグラデーションカラー、インナーカラー: 派手な印象を与えるため、避けるべきです。髪をまとめることで隠れる場合もありますが、不意に露出することもあるため注意が必要です。
- 原色系のカラー: 赤、青、緑などの原色系のカラーは、問答無用でNGです。
黒染めスプレーは応急処置として有効
急な参列で美容院に行く時間がない場合や、一時的に髪色を暗くしたい場合は、黒染めスプレーが非常に有効な応急処置となります。
ドラッグストアなどで手軽に購入できますが、以下の点に注意してください。
- 色ムラに注意: スプレーの塗布が均一でないと、色ムラになってかえって目立つことがあります。事前に目立たない部分で試してみるか、家族に手伝ってもらうと良いでしょう。
- 衣服への付着: スプレーが衣服や肌に付着すると、落ちにくい場合があります。タオルなどで肩や首元をカバーしながら使用し、乾くまで触らないようにしましょう。
- 汗での色落ち: 汗をかくと色が落ちて、襟や顔に黒い色がついてしまうことがあります。特に夏場は注意が必要です。
あくまで応急処置なので、できることなら、数日間だけ色を暗くするトリートメントタイプや、美容院での一時的なカラーリングも検討してみてください。
お葬式でロングヘアを下ろしたまま避けるべきNGなケース
一方で、ロングヘアを下ろしたままではマナー違反となる、あるいは避けるべきケースも明確に存在します。
故人への失礼にあたらないよう、以下の点をしっかり確認しておきましょう。これらのNGポイントは、知っておくだけであなたの印象を大きく左右する可能性があります。
髪の長さが極端に長い場合
腰まで届くような極端に長い髪や、背中の中央より下まであるロングヘアは、下ろしたままではマナー違反とみなされる可能性が非常に高いです。
このような長さの場合、お辞儀の際に髪が垂れ下がったり、椅子に座る際に挟まったりして、周囲に迷惑をかけたり、だらしない印象を与えてしまいます。
また、焼香の際などにも髪が邪魔になり、火に近づいてしまう危険性もゼロではありません。何よりも、動きに合わせて髪が揺れること自体が、厳粛な場にそぐわないと見なされます。
長い髪は必ず一つにまとめるようにしましょう。まとめる位置は、耳より下の低い位置が鉄則です。

パーマや巻き髪でボリュームがある場合
パーマをかけている場合や、意図的に巻き髪にしている場合など、髪にボリュームがある状態は、お葬式には不適切です。
特に、ふわふわとしたカールや、派手な巻き髪は、お祝いの席のような印象を与えてしまうため、避けるべきです。
パーマをかけている場合は、ストレートにブローするか、ヘアアイロンで伸ばして落ち着かせる、または控えめにまとめることを心がけましょう。
もし、パーマが強く、どうしてもストレートにできない場合は、低い位置でタイトなシニヨンやお団子ヘアにするなど、できる限りボリュームを抑える工夫が必要です。
アレンジが派手すぎる場合
「お葬式だから」と特別なヘアアレンジを施す必要はありません。むしろ、凝ったヘアアレンジは派手な印象を与え、場にそぐわないとみなされます。
例えば、編み込みを多用した複雑なスタイル、トップにボリュームを持たせるアレンジ、後れ毛をわざと出すような「抜け感」のあるスタイルなどは、弔事には不向きです。
ヘアアクセサリーなども、黒や紺のシンプルなもの以外は避けましょう。あくまで「故人を悼む場」であるという意識を忘れないでください。
香りの強いヘアケア製品を使用している場合
ヘアスプレーやワックス、ヘアオイル、スタイリング剤など、香りの強いヘアケア製品を使用することは控えましょう。
お葬式では、香水も控えるのがマナーとされています。これは、ご遺族や他の参列者の中には、香りに敏感な方、アレルギーを持つ方、あるいは体調が優れない方もいらっしゃる可能性があるためです。
故人の思い出を語り合う大切な場で、香りが原因で気分を害する方がいるのは避けたい事態です。
可能な限り無香料の製品を選ぶか、使用を控えるのが賢明です。もし香りが残ってしまう場合は、軽くシャンプーし直すなどして、完全に香りを消してから参列しましょう。
テーブルに置かれた故人の遺影や供花、そして厳かな読経が響く空間で、香りは非常に目立ってしまいます。細やかな配慮が、故人への最大の供養となることを忘れてはいけません。
お葬式にふさわしいロングヘアのまとめ髪アレンジ
ロングヘアの場合、最も安心で適切なのは髪をまとめることです。ここでは、お葬式にふさわしい、清潔感があり控えめなまとめ髪アレンジをいくつかご紹介します。どれも簡単にできるものばかりなので、ぶきっちょさんでも大丈夫です。
基本は「一つ結び」か「夜会巻き」
お葬式におけるロングヘアのまとめ髪の基本は、以下の2つです。どちらも、「華美でなく、実用的」という視点で選ばれています。
- 一つ結び(ローポニーテール): 最もシンプルで清潔感があります。どんな長さのロングヘアにも対応可能です。
- 夜会巻き: 上品で落ち着いた印象を与えます。フォーマルな場にふさわしいクラシカルなスタイルです。
いずれも、低い位置でまとめるのがポイントです。高い位置での結び方や、華美な飾りは避けましょう。耳より下、うなじに近い位置が理想的です。
一つ結び(ローポニーテール)のポイント
一つ結び(ローポニーテール)にする際は、以下の点に注意してください。
- 結ぶ位置: 耳より下の低い位置で結びます。首の付け根あたりが目安です。高く結ぶとカジュアルな印象になるため、厳禁です。
- 後れ毛の処理: サイドや襟足の後れ毛は、だらしない印象を与えます。目立たない黒いアメピンやUピンでしっかりと留めて、清潔感を保ちましょう。ワックスなどで軽くまとめるのも効果的です。
- ゴムの色: 黒や濃い紺など、目立たない色を選びましょう。飾り付きのゴムは避けてください。もしゴムが目立つ場合は、自分の髪の毛でゴムを隠すように巻きつけると、より洗練された印象になります。
- ボリューム: トップやサイドのボリュームは抑え、全体的にタイトにまとめましょう。

夜会巻きのポイント
夜会巻きは、より落ち着いた、フォーマルな印象を与えたい場合におすすめです。少し練習が必要かもしれませんが、マスターすれば一気に上品な雰囲気を演出できます。
- まとめる高さ: 後頭部の真ん中からやや下くらいの高さでまとめます。高すぎず、低すぎないバランスが重要です。
- 崩れにくさ: Uピンやアメピンを複数使い、しっかりと固定しましょう。特に動き回ることが予想される場合は、少量のハードスプレーで固めるのもアリですが、無香料のものを選んでください。
- シンプルなコーム: 飾りのない黒やべっ甲色のコームを使用します。パールやラインストーンが付いているもの、光沢のあるものは避けてください。
- 滑らかな表面: 表面に凹凸がなく、つるりとした仕上がりを目指しましょう。
夜会巻きは、横顔や後頭部も美しく見せることができるため、喪主やご遺族の方にも適したスタイルです。
その他おすすめのまとめ髪スタイル
一つ結びや夜会巻き以外にも、お葬式にふさわしい、清潔感と控えめさを兼ね備えたまとめ髪スタイルがあります。
シニヨン(お団子)ヘア
シニヨンヘアは、上品で落ち着いた印象を与えることができます。特に髪の量が多い方や、一つ結びだと重く見えがちな方におすすめです。
- 結ぶ位置: 低めの位置で、コンパクトにまとめましょう。後頭部や襟足のあたりが適切です。高く、ふんわりとしたお団子はカジュアルなので避けましょう。
- ボリューム: 大きすぎず、タイトにまとめるのがポイントです。ドーナツ型など、人工的にボリュームを出す道具の使用は避けましょう。
- ヘアネットの活用: ヘアネットを使うと、よりすっきりとまとまり、崩れにくくなります。目立たない黒色のネットを選びましょう。
- 後れ毛: 後れ毛は一切出さないように、しっかりとピンで留めましょう。
編み込みを取り入れた控えめなアレンジ
編み込みを取り入れる場合は、あくまでもシンプルで控えめにすることが重要です。派手な印象にならないよう、目立たないように編むのがポイントです。
- サイドから低い位置でまとめる: 耳元から首にかけて、低い位置で片側または両側を軽く編み込み、一つ結びやシニヨンに合流させるのがおすすめです。編み目はきつく、表面に出さないようにしましょう。
- 裏編み込みやフィッシュボーン: 立体感が出やすいので、避けるか、非常に緩く目立たないように編むようにしましょう。表編み込みでタイトにまとめるのがベターです。
- 前髪の処理: 前髪が長い場合、軽く編み込んでサイドに流すのも良いですが、あくまで顔にかからないようにすっきりとまとめます。
- 毛先の処理: 編み込んだ毛先は、しっかりと隠れるようにピンで留めましょう。
これらのアレンジは、あくまでも全体の印象が「清潔感」と「控えめ」であることを最優先に考えましょう。少しでも華美な印象になりそうだと感じたら、よりシンプルなスタイルに変更してください。
大切なのは、故人を偲ぶ気持ちを表すこと。髪型は、その気持ちを支えるための「舞台裏」のようなものだと考えてみてください。
お葬式における髪飾りの選び方と注意点
お葬式では、髪飾りも身だしなみの一部として、適切なものを選ぶ必要があります。
基本的には「つけない」が最も無難ですが、つける場合は以下の点に注意しましょう。ここでは、よくある間違いや、意外と知られていないポイントについても触れていきます。
基本は「黒」または「濃い紺」のシンプルなもの
髪飾りをつける場合は、黒または濃い紺の、装飾のないシンプルなものを選びましょう。素材も、光沢のないマットな質感が望ましいです。
アイテム | 選び方のポイント | NG例 |
---|---|---|
バレッタ | 小さく、光沢のないマットな質感のもの。プラスチックや布製が好ましい。 | 大きなリボン付き、キラキラした装飾、金属製で光沢のあるもの。 |
ヘアゴム | 飾り気のないシンプルな黒いゴムが基本。 | パールやビーズ付き、太いリボン、キャラクターもの。 |
ヘアピン | 黒や茶色の目立たないアメピンやUピン。 | ラインストーン付き、カラフルなもの、装飾が派手なもの。 |
コーム | 夜会巻きに使用する際は、黒やべっ甲色のシンプルなもの。 | 花や蝶などのモチーフ、宝石付き、金属製で目立つもの。 |
パールやラインストーン、リボンなどの装飾が付いているものは、たとえ色が黒でも避けるべきです。葬儀は「お祝い事」ではなく「弔事」であるため、華やかさを連想させるものは不適切とされます。

シュシュやカチューシャはNG?
シュシュはカジュアルな印象を与えるため、お葬式にはふさわしくありません。たとえ黒色のシンプルなものでも、その形状自体が普段使いのイメージが強いため、避けるのが賢明です。
カチューシャも、シンプルなものでもカジュアルに見えがちなので、避けるのが無難です。前髪をまとめる目的であれば、目立たない細い黒のピンで留めるのが良いでしょう。
これらのアイテムは、日常生活では便利でおしゃれなものですが、厳粛な葬儀の場ではTPOに合わないと判断されることを理解しておきましょう。
ヘアアクセサリーのNG例
以下のようなヘアアクセサリーは、お葬式では絶対に避けるべきです。
- 生花や造花: お祝いの席やパーティーを連想させるため、不適切です。
- キラキラした素材やラメ、光沢のある金属: 派手な印象を与え、故人を悼む場にはふさわしくありません。
- 明るい色や柄物: 黒、濃い紺、グレー以外の色は避けましょう。動物柄や派手な幾何学模様などもNGです。
- 大きな飾りや目立つデザイン: 場の厳粛さを損なう可能性があります。小さくても個性の強いデザインは避けるべきです。
- キャラクターもの: 子供用のものも、避けるのがマナーです。
「このくらいなら大丈夫だろう」と安易に判断せず、少しでも迷ったらつけない方が安心です。アクセサリーは、故人への敬意を表すためのものではなく、あくまで身だしなみを整えるための補助的な役割だと考えましょう。
年齢別・立場別で異なる髪型のマナーのポイント
お葬式における髪型のマナーは、基本的な部分は共通していますが、年齢や参列する立場によって、より意識すべきポイントがあります。これは、その方の社会的な役割や、周囲からの見られ方が異なるためです。
ここでは、それぞれの状況に応じた注意点を、具体的なアドバイスとともに解説します。
20代〜30代の若い世代の場合
比較的若い世代の方は、普段のファッションや髪型がカジュアルな傾向にあるため、より一層「控えめ」を意識する必要があります。若さゆえの軽率な印象を与えないよう、細心の注意を払いましょう。
- 髪色対策を徹底: 明るい髪色(金髪、明るい茶髪、ハイライト、インナーカラーなど)の場合は、一時的にでも黒染めスプレーなどで対応することを強く推奨します。最近では、数日で落ちるタイプの一時染毛剤も市販されています。
- シンプルなまとめ髪: 個性的なアレンジは避け、一つ結びやシニヨンなど、定番のスタイルを選びましょう。流行の「抜け感」を意識した後れ毛や、無造作ヘアは厳禁です。
- 後れ毛の処理: 顔周りの後れ毛は、特に若い世代はルーズに見えがちなので、しっかりとピンで固定し、ワックスなどでまとめるようにしましょう。
- ツヤ感を抑える: スタイリング剤を使う場合も、ウェット感やツヤ感が強く出るものは避け、マットな質感のものを選びましょう。
若い世代だからこそ、礼儀正しさがより際立ち、好印象を与えます。故人への敬意を第一に考えた身だしなみが、何よりも大切です。

40代以上の大人の女性の場合
40代以上の大人の女性は、落ち着いた雰囲気を醸し出すことが求められます。若すぎる印象の髪型や、逆にだらしない印象を与える髪型は避けましょう。品格と知性を感じさせるスタイルが理想です。
- 品格のあるまとめ髪: 夜会巻きや、きちんとしたシニヨン、低い位置での上品な一つ結びなど、大人の女性らしいまとめ髪がおすすめです。
- 崩れにくいスタイル: 長時間の参列や、多忙な場面でも途中で崩れてしまうと見苦しくなるため、しっかりと固定できるスタイルを選びましょう。ヘアスプレー(無香料)で軽く固めるのも有効です。
- 控えめなボリューム: ボリュームが出すぎないように注意し、まとまりのあるシルエットを意識してください。トップやサイドの髪が膨らみすぎないように、ブラシで丁寧に整えましょう。
- 白髪対策: 白髪が気になる場合は、事前に目立たないように染めておくか、部分用ファンデーションなどでカバーすることも大切です。
大人の女性として、周囲への配慮が行き届いた髪型は、あなたの人間性をより一層高めてくれることでしょう。
喪主・ご遺族の場合
喪主やご遺族は、参列者をお迎えする立場であり、最も故人に近い存在です。
そのため、参列者以上に厳格なマナーが求められます。故人への弔意を最大限に表し、参列者に不快感を与えないよう、細部にまで気を配る必要があります。
- 必ずまとめる: ロングヘアの場合は、髪が長くても短くても必ずまとめましょう。肩につく長さであれば、迷わずまとめるのが鉄則です。
- 一切の装飾を避ける: 髪飾りはもちろんのこと、目立つヘアピンなども避け、徹底的にシンプルに徹します。ゴムやピンも黒色で、できるだけ見えないように工夫しましょう。
- 前髪の処理: 前髪が長い場合は、オールバックにするか、横に流してピンで固定し、顔に髪がかからないようにします。
- 清潔感の徹底: 髪の毛一本一本まで気を配り、寝癖やパサつきがないよう、丁寧にブローして整えます。
- お悔やみの気持ちを最優先: 自身の身だしなみが、故人への最後の敬意、そして参列者への配慮に繋がることを強く意識しましょう。悲しみの中にあっても、この意識を持つことが重要です。
特に、お焼香や挨拶などで前に立つ機会も多いため、常に清潔感と品の良さを保つことが重要です。あなたのきちんとした身だしなみが、参列者への安心感を与え、故人を静かに悼む空間を作り出す手助けとなります。
急な訃報にも慌てない!準備しておきたいアイテム
お葬式は突然やってくるものです。いざという時に「どうしよう…」と慌てないよう、日頃から準備しておくと安心なアイテムがあります。特に、髪型に関する対策として、これらを揃えておけば、どんな急な訃報にも冷静に対応できるでしょう。
黒いヘアゴム・ヘアピン
普段は髪をまとめない方も、黒色のヘアゴムとヘアピンは必ず用意しておきましょう。緊急時の強い味方になります。
- ヘアゴム: 飾り気のないシンプルな黒いゴムを複数個。太すぎず、細すぎない、一般的なサイズのものが使いやすいです。
- ヘアピン: アメピンやUピンなど、数本持っていると非常に便利です。後れ毛を留める際や、まとめ髪の固定に重宝します。黒色を選びましょう。
これらは、ポーチや非常用セットの中に常に忍ばせておくのがおすすめです。いざという時に、家探しをする手間が省けます。
黒染めスプレー
髪色が明るい方にとって、黒染めスプレーは必須アイテムと言えるでしょう。
一時的に髪色を暗くすることができるため、急な参列でも安心です。
ただし、服に色移りしないよう、使用方法をよく確認し、事前に目立たない場所で試しておくことを強くおすすめします。
また、完全に黒くなるわけではないので、あくまで応急処置であり、完全に色をカバーできない場合もあることを理解しておきましょう。製品によっては、シャンプーで簡単に洗い流せるタイプもありますので、そういったものを選ぶと便利です。

携帯用のくし・ブラシ
髪の乱れをすぐに直せるよう、携帯用のくしやブラシも持っておくと便利です。特に、移動中に風で髪が乱れたり、湿気で広がってしまったりした際に役立ちます。
シンプルなデザインで、ポーチに入るサイズのものが良いでしょう。また、静電気防止機能付きのものがおすすめです。鏡付きのコンパクトなタイプであれば、さらに便利に使えます。
これらのアイテムは、日頃から持ち歩く習慣をつけておけば、どんな時でもあなたの身だしなみを整える強い味方になってくれるはずです。
お葬式に関するよくある質問(Q&A)
ここまで、お葬式でのロングヘアの髪型について詳しく解説してきましたが、まだ疑問が残る方もいらっしゃるかもしれません。
ここでは、読者の皆様からよく寄せられる質問と、その回答をまとめてご紹介します。これで、あなたの疑問もきっと解消されるでしょう。
ショートヘアでも気を付けるべきことはありますか?
「短い髪だから大丈夫」と油断しがちですが、ショートヘアの方でも、いくつか気を付けるべき点があります。
- 清潔感を保つ: 寝癖やパサつきがないよう、きちんとブラッシングし、整髪料(無香料)でまとまりを持たせましょう。ボサボサの髪は、長さに関わらずだらしない印象を与えます。
- 耳を出す: 可能であれば、耳を出すことで顔周りがすっきりとし、清潔感が増します。
- 前髪の長さ: 前髪が目にかかるような長さであれば、サイドに流すか、目立たない黒いピンで留めるなどして、顔にかからないようにしましょう。お辞儀の際に顔にかかるのはNGです。
- 髪色: 明るすぎる髪色は、ショートヘアでも同様に避けるべきです。特に、刈り上げ部分や襟足の派手なカラーは目立つため、黒染めスプレーなどで対応しましょう。
- 襟足の長さ: 襟足が長く伸びている場合は、できれば短く整えておくのが望ましいです。
ショートヘアだからといって、何もせずに行くのは控えましょう。短い髪でも、きちんとした手入れが故人への敬意に繋がります。
お葬式で「これはNG」という髪型を教えてください。
お葬式で絶対に避けるべきNGな髪型は以下の通りです。これらは、厳粛な場にふさわしくなく、周囲に不快感や違和感を与える可能性が高いです。
- 派手な巻き髪やボリュームのあるヘアスタイル: お祝い事を連想させるため不適切です。結婚式のような華やかなセットは厳禁です。
- 明るすぎる髪色: 金髪やメッシュ、原色系のカラーなど、黒や濃いブラウン以外の髪色は避けましょう。
- 奇抜なヘアアレンジ: モヒカンやツーブロック、アシンメトリーなど、個性の強いスタイルはNGです。過度な編み込みや、複雑なアップスタイルも避けるべきです。
- 過度なヘアアクセサリー: パールやラインストーン、生花などの装飾品は避けましょう。シンプルな黒いゴムやピン以外は原則使用しないのがマナーです。
- 香りの強いヘアスプレーやワックス: 周囲への配慮を欠くため、無香料のものを使いましょう。香水も同様にNGです。
- 清潔感のないだらしない髪型: 寝癖やボサボサの髪、フケが目立つなど、不衛生な印象を与える髪型は、故人への敬意を欠くことになります。
- ハーフアップ: カジュアルな印象が強く、お辞儀の際に顔に髪がかかりやすいため、基本的にはNGとされています。
これらに該当しないか、今一度ご自身の髪型をチェックしてみてください。迷った時は、「控えめに、清潔に」を最優先に考えましょう。
お葬式の後に美容院に行くのはアリですか?
お葬式の後に美容院に行くことは、全く問題ありません。むしろ、一時的に黒染めスプレーを使用した場合は、その色を落とすためにも美容院で手入れをしてもらうのが良いでしょう。
また、お葬式という重い雰囲気に疲れた心身をリフレッシュするために、美容院で気分転換を図るのも良い方法です。
ただし、美容師さんとの会話でお葬式の内容を詳細に語ることは控えめにしましょう。あくまでプライベートな空間ですが、場をわきまえた言動が求められます。
心身の疲れを癒し、新たな気持ちで日常に戻るためにも、美容院でのケアは有効な手段と言えます。
子供の髪型はどうすればいいですか?
お子様の髪型も、大人と同様に清潔感を第一に考えましょう。お子様が小さくても、故人やご遺族への配慮は必要です。
- 短い髪: 男の子、女の子ともに、そのままで問題ありません。ただし、寝癖は直してあげましょう。前髪が目にかかる場合は、ピンで留めるか、カットしてあげるのが良いでしょう。
- 長い髪: 女の子の場合は、邪魔にならないよう、一つ結びや三つ編みなどでまとめてあげましょう。高い位置でのツインテールやお団子はカジュアルなので避け、低い位置でまとめます。
- 髪飾り: 派手なものは避け、シンプルな黒や紺のゴムやピンを使用してください。キャラクターものや、キラキラした装飾品は避けるべきです。
- 髪色: もしお子様が髪を染めている場合は、黒に戻すか、目立たないようにしましょう。
お子様が走り回ったり、お焼香の際に頭を下げたりしても、髪が邪魔になったり、乱れたりしないように配慮してあげることが大切です。お子様が落ち着いて参列できるよう、事前に説明してあげるのも良いでしょう。
まとめ
お葬式におけるロングヘアの髪型は、故人への敬意とご遺族への配慮を示す大切な要素です。
「おろしたまま」が許容されるケースもありますが、基本的には「まとめる」のが最も安心で適切な選択肢です。
この記事で解説したポイントを参考に、ご自身の状況に合わせて最適な髪型を選んでください。そして、何よりも大切なのは、故人を偲ぶ気持ちです。
最後に、お葬式での髪型マナーの核心をもう一度おさらいしましょう。
- 髪の長さが極端に長い場合は、必ずまとめる。
- 清潔感があり、控えめな印象を心がける。
- 明るい髪色の場合は、黒染めスプレーなどで一時的に対応する。
- シンプルな黒や濃い紺のヘアゴム・ヘアピンは常備しておく。
- 派手な装飾や香りの強いヘアケア製品は避ける。
- 年齢や立場によって、より一層の配慮が必要となる場合がある。
大切な方の最期のお見送り。あなたのきちんとした身だしなみが、故人への最後の敬意となり、ご遺族への温かい配慮となることでしょう。この知識が、あなたの不安を少しでも軽減し、心から故人を偲ぶ一助となれば幸いです。
この記事を読んで、あなたはもうお葬式の髪型で悩むことはないはずです。故人への敬意を込めた、あなたの心のこもった髪型で、静かに、そして温かくお見送りください。
【関連記事】
- 葬式に女性は手ぶらで参列してもOK?持ち物と服装の不安を解消
- 葬式でのローファー、女性はOK?選び方とマナーを徹底解説
- 葬式のハンカチは100均でOK?マナーと選び方を徹底解説
- 葬式の胡蝶蘭、値段と選び方のポイント
- 葬式での帽子・ベール、マナーと選び方
【参考資料】