大切な方の葬儀に参列する際、服装や持ち物には細心の注意を払いたいものですよね。「葬式に革靴はダメなのか?」と疑問に感じ、このページにたどり着いた方もいらっしゃるのではないでしょうか。結論から申し上げると、葬式に革靴を履いていくこと自体は問題ありません。ただし、故人やご遺族に失礼にあたらないよう、守るべきマナーや選ぶべき革靴の種類があります。
このページでは、葬儀・告別式における革靴の選び方から、よくある疑問、さらに靴以外の身だしなみのポイントまで、葬儀に参列する際の足元に関するお悩みを網羅的に解説します。大切な場面で後悔しないためにも、ぜひ最後までお読みいただき、安心して故人をお見送りするための参考にしてください。
葬式における革靴の基本マナーと選び方
葬儀に履いていく革靴を選ぶにあたり、最も重要なのは「マナーに沿っているか」という点です。華美な装飾は避け、故人を悼む気持ちを表す控えめなデザインを選びましょう。
男性の革靴:最適な種類と避けるべきもの
男性の葬儀用革靴は、基本的に黒色のビジネスシューズが適切です。特に以下のポイントを押さえて選ぶようにしましょう。
最適な革靴の種類
- 内羽根ストレートチップ:最もフォーマルなデザインとされており、冠婚葬祭全般に適しています。靴ひもを通す部分(羽根)が甲の内側に入り込んでいるのが特徴で、スマートな印象を与えます。
- 内羽根プレーントゥ:ストレートチップの次にフォーマルなデザインです。装飾が一切なく、シンプルなデザインが特徴です。

避けるべき革靴の種類と特徴
- 外羽根式:靴ひもを通す羽根が甲の外側にあるデザインです。ビジネスシーンでは一般的ですが、フォーマルな葬儀の場では避けるのが無難です。
- ウイングチップ:つま先に鳥の翼のようなW型の飾りがあるデザインです。カジュアルな印象を与えるため、葬儀には不向きです。
- モンクストラップ:靴ひもがなく、バックルで留めるデザインです。フォーマル度は低く、葬儀には適しません。
- ローファー:靴ひもがなく、脱ぎ履きしやすいデザインですが、カジュアルすぎるため葬儀には不適切です。
- ブーツ:カジュアルな印象が強く、葬儀には不適切です。
- エナメル素材の靴:光沢があり、華美な印象を与えるため、葬儀には適しません。
- スエード素材の靴:カジュアルな素材であり、葬儀には不適切です。
- 明るい色の靴:黒以外の色はマナー違反です。必ず黒色を選びましょう。
- 装飾が多い靴:金具や飾りのついた靴は避けましょう。
女性の革靴:パンプスが基本
女性の葬儀用革靴は、黒色のシンプルなパンプスが基本です。
最適なパンプスの種類
- 素材:光沢のないスムースレザー(本革)か、布製のものが望ましいです。エナメルやスエード素材は避けましょう。
- 色:黒一択です。
- ヒールの高さ:3~5cm程度の太めのヒールが適切です。安定感があり、歩きやすいものが良いでしょう。ヒールが高すぎるものや、ピンヒールは避けましょう。
- デザイン:装飾のないプレーンなデザインを選びます。金具やリボン、オープントゥ、ストラップなどの飾りがついたものは避けてください。
- つま先:丸いつま先(ラウンドトゥ)または、やや尖ったポインテッドトゥでも、過度に尖っていなければ問題ありません。オープントゥや、つま先が見えるデザインはマナー違反です。

避けるべきパンプスの種類と特徴
- エナメルやスエード素材:光沢があったり、カジュアルな印象を与えたりするため、避けてください。
- オープントゥやサンダル:つま先が見えるデザインは、肌の露出が多く、マナー違反とされます。
- ミュール:かかと部分がないデザインはカジュアルなため不適切です。
- ブーツ:カジュアルな印象が強く、葬儀には不適切です。
- 派手な装飾のあるもの:金具、リボン、ラインストーンなどの装飾がついたものは避けましょう。
- ヒールが高すぎる・低すぎるもの:高すぎるヒールは華美に、低すぎるヒールはカジュアルに見えることがあります。
革靴以外に注意すべき足元のマナー
革靴だけでなく、靴下やストッキングなど、足元全体の身だしなみにも配慮が必要です。
靴下の選び方:男性の場合
男性の場合、靴下は黒無地のリブソックスが基本です。
- 色:黒一択です。白や柄物の靴下は避けましょう。
- 素材:ビジネスシーンで一般的な綿やウールなどの素材が適切です。カジュアルなスニーカーソックスやくるぶし丈のものは避けましょう。
- 長さ:座った際に素肌が見えないよう、ふくらはぎの中間くらいまでの長さがあるものを選びましょう。

ストッキングの選び方:女性の場合
女性の場合、ストッキングは黒色の薄手タイプを着用するのがマナーです。素足はNGです。
- 色:黒一択です。肌色や柄物のストッキングは避けましょう。
- 厚さ:20~30デニール程度の薄手タイプを選びましょう。厚手のタイツはカジュアルな印象を与えるため、葬儀には不向きです。
- 柄:無地を選びます。ラメ入りやワンポイントの柄入りなども避けましょう。
- 予備の携帯:伝線してしまう場合に備え、予備のストッキングを持参すると安心です。
よくある疑問:こんな時どうする?
葬儀の足元に関するよくある疑問とその答えをまとめました。
喪服に合った靴がない!急な葬儀でどうすればいい?
急な訃報で、手持ちの靴がマナーに合わない場合もあるかもしれません。そんな時は、以下の対処法を検討しましょう。
- レンタルサービスを利用する:紳士服店やフォーマルウェアのレンタルショップでは、喪服と合わせて靴もレンタルできる場合があります。
- シンプルな黒い靴で代用する:やむを得ない場合は、手持ちの中で最もシンプルな黒い革靴(男性)またはパンプス(女性)を選びましょう。光沢が少なく、装飾のないものを選び、できるだけ目立たないように心がけることが大切です。
- 靴を磨いて清潔感を保つ:どんな靴であっても、清潔感は非常に重要です。事前にしっかり磨いて、汚れがない状態にしておきましょう。
雨の日でも革靴で大丈夫?
雨の日の葬儀でも、基本的には革靴で問題ありません。ただし、以下の点に注意しましょう。
- 防水スプレーを使用する:事前に防水スプレーをかけておくと、革靴が雨で濡れるのを防ぎ、シミになるのを防げます。
- 滑りにくい靴底を選ぶ:雨で濡れた場所は滑りやすいため、靴底に滑り止め加工が施されているものや、溝がしっかりあるものを選ぶと安心です。
- 替えの靴下を持参する:万が一靴が濡れてしまった場合に備え、替えの靴下を持参すると良いでしょう。
- 足元を拭くタオルを用意する:会場に入る前に、靴についた水滴や泥を拭き取れるよう、小さなタオルやハンカチを用意しておくとスマートです。

カジュアルな革靴しか持っていない場合は?
カジュアルなデザインの革靴(例:外羽根式のウィングチップ、ローファーなど)しか持っていない場合でも、まずは黒色で、できるだけ装飾が少なく、光沢のないものを選ぶようにしましょう。しかし、できれば内羽根式のストレートチップやプレーントゥを準備しておくことを強くおすすめします。急な場合は以下の点を考慮してください。
- 磨いて清潔感を出す:カジュアルな靴でも、しっかり手入れをして清潔感を出すことで、印象が良くなります。
- 他の身だしなみでカバー:靴がカジュアルでも、他の服装や髪型、小物などをしっかりマナー通りにすることで、全体の印象を整えられます。
- 新調を検討する:今後も葬儀に参列する機会があることを考えると、一足はフォーマルな革靴を用意しておくと安心です。
革靴の手入れ方法:清潔感を保つために
葬儀に参列する際は、靴が汚れていないか、傷んでいないかなど、清潔感を保つことが非常に重要です。
- ブラッシング:靴全体のほこりや汚れをブラシで丁寧に落とします。
- クリーナー:革靴用クリーナーで古いクリームや汚れを拭き取ります。
- クリーム:靴と同色の靴クリームを薄く均一に塗り込みます。黒色の革靴には黒のクリームを使いましょう。
- 拭き上げ:柔らかい布で余分なクリームを拭き取り、磨き上げて光沢を出します。ただし、葬儀では光沢を抑えめにするのがマナーなので、過度にピカピカに磨き上げる必要はありません。
- 靴べらを使用する:靴を履く際は、靴べらを使用することで、かかと部分の型崩れを防ぎ、革を傷めずに長く使えます。

その他、葬儀の身だしなみに関する補足
足元だけでなく、全身の身だしなみも合わせて確認しておきましょう。
男性の服装:スーツとネクタイ、シャツ
男性は、ブラックスーツ(喪服)を着用するのが基本です。
- スーツ:光沢のない黒色のシングルまたはダブルのフォーマルスーツを選びます。
- シャツ:白無地のレギュラーカラーシャツを選びます。ボタンダウンや色柄物、カジュアルな素材のシャツは避けましょう。
- ネクタイ:黒無地のネクタイを選びます。光沢のある素材や柄物は避け、ディンプル(結び目のくぼみ)は作りません。
- ベルト:黒無地のシンプルな革製ベルトを選びます。金具が派手なものは避けましょう。
女性の服装:ブラックフォーマルとアクセサリー
女性は、ブラックフォーマル(喪服)を着用するのが基本です。
- ワンピースまたはアンサンブル:黒無地のワンピースや、ジャケットとワンピースのアンサンブルを選びます。肌の露出が少ない、長袖または七分袖で、ひざ下丈のものが適切です。
- インナー:シンプルな黒のブラウスやカットソーを合わせます。胸元の開いたデザインは避けましょう。
- アクセサリー:基本的に結婚指輪以外はつけないのがマナーです。ただし、真珠(パール)のネックレスやイヤリング(ピアス)は許容されます。一連のものを選び、二連・三連のものは「不幸が重なる」ことを連想させるため避けましょう。
- バッグ:黒無地の布製または光沢のない革製の小さなバッグを選びます。金具や飾りが目立つものは避けましょう。
- 髪型:清潔感があり、顔にかからないようにまとめるのが基本です。長い髪は低い位置で一つにまとめるか、シニヨンにすると良いでしょう。派手なヘアアクセサリーは避け、黒や地味な色のヘアゴム、バレッタを使用します。
- メイク:ナチュラルメイクを心がけます。派手なアイシャドウや口紅、チークは避け、控えめな印象に仕上げましょう。
- ネイル:派手な色のネイルは避け、透明か薄いピンクなどの肌なじみの良い色にするか、オフするのが望ましいです。
まとめ
「葬式に革靴はダメ」という疑問に対しては、「適切な革靴であれば問題ない」という結論になります。故人やご遺族への敬意を表すため、以下のポイントを押さえることが重要です。
- 男性は内羽根ストレートチップまたはプレーントゥの黒い革靴。
- 女性は黒色のシンプルなパンプス(ヒールは3~5cm程度)。
- 光沢のある素材や派手な装飾、カジュアルなデザインは避ける。
- 靴下やストッキングも黒無地のものを選ぶ。
- 清潔感を第一に、手入れが行き届いた状態で参列する。
葬儀は、故人を偲び、ご遺族に寄り添う大切な場です。服装や持ち物といった身だしなみは、その思いを示す一つの形と言えるでしょう。このページでご紹介した情報を参考に、安心して葬儀に参列し、故人との最後のお別れの時間を大切に過ごしてください。皆様がマナーを守り、心穏やかに故人をお見送りできるよう、心よりお祈り申し上げます。
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